【概要】
■産業用IoTへの注目と共に、基盤である産業用ネットワーク機器に対する需要も増加
■産業用ネットワーク機器は、1.5倍から2倍でビジネスが拡大している成長領域
■すでに実績のあるITネットワークの技術を活用して、産業用ネットワークの高度化、効率化を進めるべき
IT専門調査会社 IDC Japan 株式会社は、国内産業用ネットワーク機器市場に関する調査結果を初めて発表した。
製造業を中心に産業用IoTに注目が集まる中で、その基盤である産業用ネットワーク機器に対する需要も高まっている。産業用ネットワーク機器市場は、大きく分けると、ヒルシュマンやMoxaのような産業用ネットワーク機器専業ベンダー、ロックウェル・オートメーションのような産業用制御装置ベンダー、そしてシスコシステムズに代表される一般用企業向けネットワーク機器も提供するベンダーによって構成されている。
専業ベンダーは、長期間に渡りOT(Operation Technology)の現場と密接なつながりがあるという強みがあり、一般用企業向けネットワーク機器も提供するベンダーは、ITネットワークでの高度なネットワーク技術を有するという強みがある。国内産業用ネットワーク機器市場に対して、今回調査対象にしたベンダーは、前年比1.5倍~2倍程度でビジネスが拡大している成長著しい領域であると捉えている。
一方で、現在の市場規模はまだ大きくはなく、産業用ネットワーク機器の需要はこれから本格化するといえる。企業におけるIoT導入の気運がますます高まっていけば、現在のところ限定的な生産機械のネットワーク化が進むとIDCではみている。また、ネットワーク接続技術の移行も今後進展するといえる(図参照)。伝統的なフィールドバス技術からイーサネット/IPネットワークへの移行、あるいは固定から無線技術活用へのシフト、LPWA(Low Power Wide Area)を含む無線技術の次世代化/5Gの活用へと向かうとみている。
これから活用が本格化する産業用ネットワークは、ITネットワークとの効率的な統合と分離の実現や、無線と固定ネットワークの統合管理といった課題に対応していかなければならない。そのために産業用ネットワーク機器ベンダーは、「すでに実績のあるITネットワークの技術を有効活用して、産業用ネットワークの高度化、効率化を進めるべきである。セキュリティに関しては、早急にITネットワークレベルに引き上げるべきである。最近は、対策が施されていない脆弱なIoTデバイスがターゲットになってきていることもあり、対策は急を要する」とIDC Japan コミュニケーションズ グループマネージャーの草野 賢一氏は述べている。
・レポート概要はこちら 2016年 国内産業用ネットワーク機器市場動向分析: IoTがネットワーク機器市場に及ぼす影響
<参考資料>
IoT機器のネットワーク接続技術
・不明回答は除いて集計
・5年後はサンプル僅少のため参考値
【関連リンク】
・IDC Japan
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