【概要】
・国内IoT市場は2021年まで年間平均成長率17.0%で成長、市場規模は11兆円に達する
・高い成長性が期待されるユースケースは、農業フィールド監視、小売店舗内個別リコメンデーション、院内クリニカルケア、スマートグリッド、テレマティクス保険、ホームオートメーション、スマートアプライアンス
・2020年以降もベンダーがIoTビジネスを継続的に成長させるためには、新たなユースケースの立ち上げに向けて、産業分野の開拓や新興企業との提携を進めることが必要に
IT専門調査会社 IDC Japan 株式会社は、国内IoT市場におけるユースケース(用途)別/産業分野別の予測を発表した。
IDCでは、IoTとは「IP接続による通信を、人の介在なしにローカルまたはグローバルに行うことができる識別可能なエッジデバイスからなるネットワークのネットワーク」であり、法人/政府/個人といった様々なユーザーが利用するユビキタスなネットワーク環境に対して、管理/監視/分析といった多様な付加価値を提供するものと定義している。
国内IoT市場におけるユーザー支出額について、2016年の見込み値は5兆270億円。そして2016年から2021年まで年間平均成長率(Compound Annual Growth Rate: CAGR)17.0%で成長し、2021年には11兆237億円に達するとIDCではみている。
農業フィールド監視、小売店舗内個別リコメンデーション、院内クリニカルケア、スマートグリッド、テレマティクス保険、ホームオートメーション、スマートアプライアンスといったユースケースは、2016年~2021年のCAGRが25%を超える高い成長が期待されるという。
またIDCの定義する「主要産業分野(14業種)」において、2016年時点で市場の多くを占めるのは製造業、運輸/運輸サービス、官公庁、公共/公益。こうした産業分野では以前からさまざまな組み込み系の機器/インフラに対して支出を行ってきており、そうした機器/インフラの運用効率の向上や、機器/インフラを通じたエンドユーザー満足度向上などを実現する上で、IoTを活用することが不可欠になりつつあるという。
国内IoT市場の力強い成長の背景には、2020年の東京オリンピック開催に向けた景況感の上向き、IoTを利用する上での技術障壁/コスト障壁の低下、IoTを取り巻く法規制や支援策の変化が影響している。しかし、2020年以降もベンダーがIoTビジネスで継続的な成長を続けていくためには、顕在化する社会課題に対応すべく、新たなユースケースの立ち上げに向けて、産業分野の開拓や新興企業との提携を進めることが必要になる。
IDC Japan コミュニケーションズ シニアマーケットアナリストの鳥巣 悠太氏は「第3のプラットフォームを中心としたITを駆使することで、企業はIoTをベースとしたサービス提供者へ自らを変革すること、すなわち『デジタルトランスフォーメーション(DX)』が可能になってきている。企業がIoT分野におけるDXを通じエンドユーザーに価値あるサービスを提供する上で、ITベンダーは企業からの要望に受身で対処するだけでなく、自らが率先してビジネスモデルを提案することが求められる」と述べている。
・レポート概要はこちら 国内IoT市場 産業分野別/ユースケース別予測、2017年~2021年
<参考資料>
国内IoT市場 支出額予測、2016年~2021年
・2016年は見込み値、2017年~2021年は予測値。
・折れ線は各年における前年比の成長率を表す。
【関連リンク】
・IDC Japan
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