日本電気株式会社(以下、NEC)は、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)と共同で、沖縄プロ野球キャンプの放送映像(注1)を用いて、映像伝送装置や映像カメラなどのIoT端末に紐づいた属性情報やネットワークの通信(トラフィック)量に応じて、適切なネットワークを動的に構築・活用する実証実験を実施した。同実験は、2017年2月24日から26日にかけてNICTの提供する研究・開発用ネットワーク(テストベッド) JGN 、RISE(注2)を活用して行われた。
実証実験では、NICTが保有しているVPNルータ、SDNコントローラやSDNスイッチを東京と沖縄に配置したネットワーク環境を利用。この環境に対して、NECは「IoTサービスイネーブラ」を提供している。
SDNは、物理的には1つのネットワークを仮想的に複数のネットワークに分割することや、トラフィックを各ネットワークに振り分けることができる。また、IoTサービスイネーブラは、ネットワークのトラフィックの状況を把握するとともに、状況に合わせて、適切な機能を持ったネットワークにトラフィックを振り分ける基準を動的に変更することができる。これらを組み合わせることで、サービスの要件に応じて通信帯域やネットワークの処理能力などのリソースを効率的に活用することができ、サービス品質の向上やネットワークの運用コストの低減を実現する。
実験ではプラチナ、ゴールド、シルバーの3つの属性情報とトラフィック状況をリアルタイムに監視。通信帯域や処理能力などが異なる複数の仮想ネットワークの構築・展開をすることで、沖縄プロ野球キャンプの放送映像を、属性情報とトラフィック状況に合わせて適切な仮想ネットワークに振り分けて伝送することに成功した。
NECは、今回の実証実験での実績を活かし、IoTサービスイネーブラやvCPEをはじめとした通信ソフトウェア、ネットワーク仮想化ソリューションを国内外に拡販していくことで、SDN/NFV(ネットワーク機能の仮想化)適用を推進し、通信事業者の高度な通信サービスの実現に貢献していくという。
(注1)衛星基幹放送事業など行っている株式会社GAORAより提供
(注2)JGN(Japan Gigabit Network):NICTが提供する研究開発テストベッドネットワーク
RISE(Research Infrastructure for large-Scale network Experiments):NICTが提供する広域SDNテストベッド
SDN(Software-Defined Networking):ネットワークをソフトウェアで制御する概念
【関連リンク】
・日本電気(NEC)
・情報通信研究機構(NICT)
・ガオラ(GAORA)
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