ディープラーニング技術を活用した企業向けのソリューションを提供する、LeapMind株式会社は、ディープラーニングの計算処理の高速化、省電力化を手のひらサイズの計算処理装置で実行できる、エッジコンピューティング向けディープラーニング開発環境「Blackstar(ブラックスター)SDK」を8月から提供開始する。
現在、ディープラーニングのような巨大なプログラムを実装し動かすためには、GPUなどを用いた大量のコンピューティングリソースが必要。今後、IoTデバイスなどの普及によるエッジコンピューティングの世の中を実現するためには、ディープラーニングの計算処理の向上や省電力化、計算処理装置のコンパクト化は必要不可欠な課題となっている。
LeapMindは、ニューラルネットワークをハードウェア用に最適化することで小さいチップの上に高度なネットワークを載せることを実現し、独自に開発したアルゴリズムをチップへ実装したディープラーニング開発環境「Blackstar SDK」を8月から提供開始する予定としている。
Blackstarは、自社独自に開発したアルゴリズムをチップへ実装可能にした独自技術。手のひらサイズの小型計算処理装置に搭載することを前提としたエッジコンピューティングをCPU+FPGAや、カスタムチップのIPなどで実現する。様々なデバイスに簡単に接続することができ、デバイスにディープラーニングの知性を与える「脳」のような役割を果たす。デバイス自体に内蔵、組み込みだけでなくWi-fi通信などによる接続も可能。
さらにビッグデータを必要とするディープラーニング(AI)技術と異なり、LeapMindが提供するディープラーニングプラットフォーム「JUIZ」(年内リリース予定)のアプリケーションストアからBlackstarにディープラーニング専用アプリケーションをインストールすることが可能。また、アプリケーションによって回路を書き換えることができるため、チップの処理能力を最大限に活用することができるという。
「Blackstar」の特徴は以下の通り。
- 組み込みデバイスなどの低スペック環境でもディープラーニングが利用可能
GPUより省電力であり、PCI-Expressの広帯域なインターフェイスが必要ないため、ドローンなどのデバイスでも搭載が可能。 - ディープラーニングを高速に処理できる
CPUのソフトウェア処理と比べて、FPGAを用いてディープラーニングのニューラルネットワークをハードウェアで実装しているため、通常のソフトウェアよりも速い。 - ディープラーニング専用アプリケーションが搭載可能
アプリケーションによって回路を書き換えることができるため、チップの計算を最大限に活用することができ、チップを利用する開発者は、ディープラーニングの知識がなくても用意に高度なネットワークを用いたアプリケーションを開発できる。
Blackstar上のディープラーニングモデル精度の向上/計算量圧縮などの研究を更に進め、学習済みパッケージモデルをより幅広くしていくという。またBlackstarを様々なデバイスで適用し普及させていくことで、ディープラーニング技術を生活の中に浸透させ、センサーノードなどの各IoTデバイスがそれぞれ計算をするようなエッジコンピューティングが進んだ世の中へと押し進めるとしている。
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