日本電気株式会社(以下、NEC)は、画面を必要としない新たなコンピューティングスタイルの実現に向け、ヒアラブルデバイス(イヤホン型端末)の実証実験用プロトタイプを開発した。
NECは、個人認証技術や位置測位技術、音響AR(拡張現実)技術、バイタルセンシング技術などを組み合わせたヒアラブルプラットフォームサービスの2018年度の事業化を目指しており、同デバイスの活用によりサービス事業者やデバイスメーカなどと共同での実証実験を加速する。また、システム構築事業者に対して、耳音響認証技術(注1)や屋内位置測位技術(注2)のAPIの公開や地磁気の事前調査を行うほか、デバイスメーカには、ヒアラブルデバイスのプロトタイプの設計書などを提供するという。
今回開発されたヒアラブルデバイスは、マイク、スピーカに加え、顔の向き・姿勢・移動情報などの常時検出が可能な9軸モーションセンサ(注3)を搭載している。これらから取得した情報を用いて、耳音響認証技術による本人の特定や地磁気による屋内位置測位が可能。同デバイスはスマートフォンなどとBLE(Bluetooth Low Energy)で接続し、インターネット上のクラウドと連携することで様々なサービスを利用することができるという。
同デバイスの特長は以下の通り。
- ハンズフリーで視界を遮らずに個人認証が可能
NEC独自の耳音響認証技術を実装でき、ハンズフリーで視界を遮ることなく個人認証が行える。これにより、ユーザ負担の少ない形でサービスを設計することが可能となる。 - 屋内でもユーザ位置の推定が可能
加速度・ジャイロ・地磁気の各センサからなるモーションセンサを搭載することで、地下街やビルの中のようにGPS信号の届きにくい屋内でも、ユーザの位置を推定できる。 - 顔の向きや活動状態などユーザ情報の収集が可能
手首や首などに装着するウェアラブルデバイスと比べ、頭部・外耳道という揺れやノイズの少ない位置から安定して情報が得られるため、ユーザの顔の向きや姿勢の変化、活動状態(歩いている、走っているなど)に加え、将来的に脈波など生体情報の収集も可能。
ヒアラブルデバイスから得られる生体情報や音声、活動状態などに関する情報を活用することで、生活や仕事における様々な活動を妨げることなくサービスの利用が可能となり、例えば、スマートフォンの画面の注視により思わぬ怪我や事故につながりかねない「歩きスマホ」の対策にも貢献。NECは今後、同デバイスを活用した新たなコンピューティングスタイルを提案していくとしている。
また、次世代通信規格5Gや他のIoTプラットフォームサービスとの連携による新たなソリューションの創出を推進していくという。
(注1)NEC、人によって異なる耳穴の形状を音で識別する生体認証技術を開発
(注2)NEC、地磁気を活用して屋内の対象者の位置を正確に測定する技術を開発
(注3)加速度センサ×3、ジャイロセンサ×3、地磁気センサ×3を搭載。
【関連リンク】
・日本電気(NEC)
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