【概要】
■2014年国内データセンターネットワーク機器市場は、前年比成長率9.4%と拡大が続く
■2015年以降も成長は持続、2014年~2019年の年間平均成長率は4.7%と予測。クラウド環境向けは市場全体を上回る成長に
■「第3のプラットフォームへのトランスフォーメーション」と「モバイルを中心としたインターネットサービスの拡充」が市場のけん引役
IT専門調査会社 IDC Japan 株式会社は、国内データセンターネットワーク機器市場の2014年の実績と2019年までの予測を発表した。
これによると、2010年から続く市場拡大は2014年も継続し市場規模は836億1,400万円に達した。
データセンターに導入されたイーサネットスイッチ、ADC(Application Delivery Controller)、WAN最適化、InfiniBandからなる国内データセンターネットワーク機器市場は、データセンター活用が勢いづく中で、前年比成長率9.4%の大きな成長を達成した.
2014年の成長の背景には、「コンテンツ事業者のサービス提供基盤拡大」「クラウドサービスの利用拡大に合わせた増強需要」「トラフィック増加に適応した処理能力の強化」「経済状況の改善に伴う企業ITシステム向け需要拡大」の4つの要因があったとIDCでは捉えている。
ベンダー別では、2014年もシスコシステムズが市場の明確なリーダーとしての存在感を示した。また、ブロケード コミュニケーションズ システムズ、HP、富士通、アリスタネットワークス、デルも売上を伸ばしている。
今後のベンダー動向を左右するとみられるNetwork disaggregationと呼ぶネットワークOSとスイッチングハードウェアをアンバンドル化する動きは、国内ではいまだ限定的と言える。
2014年の国内データセンター向けイーサネットスイッチ市場におけるODM Directスイッチ(※)のシェアは、2%未満にとどまっている。
Network disaggregationの進展は、ネットワークOSの機能面の拡充や運用管理性の向上が鍵を握っているとIDCではみている。
「第3のプラットフォームへのトランスフォーメーション」と「モバイルを中心としたインターネットサービスの拡充」が、データセンター基盤の増加と増強を今後も促す。
2015年の国内データセンターネットワーク機器市場は、2014年を6.5%上回り890億8,200億円に達し、2014年~2019年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は4.7%になると予測している。
成長するデータセンター向けイーサネットスイッチ市場の中でも、クラウド環境向けはこれから本格的に成長する。
2014年~2019年のCAGRは、データセンター向けイーサネットスイッチ市場全体が5.7%に対して、プライベートクラウド向けが12.7%、パブリッククラウド向けが8.5%と市場全体を上回る成長を予測している。
今後も国内データセンターネットワーク機器市場は成長を続ける一方で、インフラストラクチャを整備する事業者は、拡大し続けるデータセンターネットワーク基盤のいっそう効率的な運用管理を実現していかなければならない。
それを実現するためにデータセンターネットワーク機器ベンダーは、「事業者の志向する運用管理のアプローチごとに適した運用管理手段を提供すべきである。サーバー運用管理のアプローチを志向する顧客には、DevOpsで用いるツールの実装を積極的に進めるべきである。一方で、これまでのネットワーク運用管理のアプローチから自動化を押し進めたい顧客には、より高度な自動化を可能にするネットワークOSのAPI(Application Programming Interface)開放が有効である」とIDC Japan コミュニケーションズ グループマネージャーの草野賢一は述べている。
※ODM Directスイッチ: ハイパースケールプレイヤーなどが決めた仕様に基づき、ODM(Original Design Manufacturer)スイッチベンダーがイーサネットスイッチを製造し提供するもの。
・レポート概要はこちら 国内データセンターネットワーク機器市場 2014年の分析と2015年~2019年の予測
<参考資料>
国内データセンターネットワーク機器市場 製品分野別 エンドユーザー売上額予測、2011年~2019年
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