グレープシティ株式会社は2015年10月20日にHTML/JavaScript/CSSなどのWeb標準技術でAR(拡張現実)アプリを開発できる「Wikitude SDK」および、ブラウザ上でARコンテンツを簡単に作成するクラウドサービス「Wikitude Studio」、大規模AR開発用ソリューション「Wikitude Cloud Recognition」と「Wikitude Targets API」を発売する。
SDKのライセンス価格はiOSまたはAndroidで1アプリを開発/配布できる「SDK Lite」で112,000円(税別)。そのほか、開発できるアプリケーションの数やデバイスの種類により複数のライセンス体系が用意されている。
AR(拡張現実)はスマートフォンや、スマートグラスを通して見る現実世界の風景に動画や画像、3Dモデル、文字情報といったデジタルコンテンツを重ね合わせる技術だ。
例えば、印刷された製品カタログにスマートフォンのカメラをかざすとショッピングカートが表示されそのまま商品を購入したり、地下に埋設する配管設備の見取り図を実際の作業現場でスマートグラス越しに確認したりできるなど、人々の生活や仕事に直接利益をもたらす仕組みを提供できる。
そのため、あらゆる産業での活用が予測され、2020年には世界予測で1200億ドル(14.4兆円)の市場規模に成長するとも言われている。
このようなARアプリの開発はこれまで専門知識と特殊な環境が必要とされていたが、WikitudeはHTML/JavaScript/CSSというWeb標準技術でARアプリを作成できるため利用しやすく、従来よりも多くの開発者がARアプリ開発に取り組むことができる。
Wikitude SDKは場所を認識してARコンテンツを重ねる「ロケーションベース型」と、任意の画像を認識してARコンテンツを重ねる「画像認識型」の両方をサポートしており、iOS、Androidおよびスマートグラスに対応したネイティブアプリを開発できる。
また、XamarinやCordova、Titanium、Unityといったメジャーな開発環境のプラグインも無償で提供している。
AR開発のハードルを下げ、急激な需要の伸びにより懸念される開発者不足もカバーする。
WikitudeシリーズはSDKのほか、プログラミング経験がなくてもブラウザ上で簡単にARコンテンツを作成できるクラウドサービスや大規模ARシステム開発用のソリューションも用意している。
≫≫Wikitudeシリーズの詳細はWebサイトで公開。
【Wikitude SDKの特長】
■アニメーション付き3Dモデルに対応
Wikitude SDKに付属している「3D Encoder」により、3Dモデルに設定されたアニメーションをARアプリで再生できるように最適化する。アニメーションが複数ある場合もそれぞれを認識し個別のIDで管理するため、任意のアニメーションを任意のタイミングで再生することが可能。
■ロケーションベースのターゲットとデバイスの位置を表示するレーダー機能
Wikitudeのロケーション認識機能はアプリがインストールされたデバイスの位置とターゲット画像の位置を緯度と経度、高度による3次元で認識している。レーダー機能を使うと、2点の位置(デバイスとターゲット画像の位置)をレーダーチャート上にリアルタイムでプロットし、アプリ上に表示することができる。
■カメラの視界を立体的に認識する拡張追跡
Wikitudeのコンピュータ・ビジョン・エンジン(ARエンジン)は、デバイスのカメラの視界に入る風景を立体的に管理してトラッキングする。ターゲット画像の周囲にある物体の形と大きさや距離、方向を記憶するため、ターゲット画像がカメラの視野から外れても、内部的にはトラッキングが続いておりARコンテンツが消失することがない。
■スマートグラスにも対応
EPSON MOVERIO BT-200などのスマートグラスでのARアプリ開発に最適化したSDKを用意。Android StudioをインストールしたパソコンをUSBなどでスマートグラスに接続することで、スマートグラス上で直接動作を確認できる。
【Wikitude Studio(ARコンテンツ制作・管理サービス)】
ノンプログラミングでARコンテンツを体験したり制作・管理したりできるWebサービス。
ブラウザ上でいくつかの設定を行うだけで、誰でもかんたんにARコンテンツを制作できる。
制作したコンテンツは、Wikitude社が提供している無償のAR認識アプリ「Wikitude App」で表示できる。
【大規模ARアプリ開発向けソリューション】
■Wikitude Cloud Recognition(クラウド レコグニション)
Wikitude SDKは1つのアプリケーションで1,000枚を超えるターゲット画像を使用する場合、Wikitudeの提供するクラウドサービス「Cloud Recognition」上でターゲット画像の認識を行える。
通常、ターゲット画像はアプリケーションに含まれデバイスが認識処理を行うが、ターゲットが大量にあるとデバイスのストレージ容量と認識処理能力に影響が出る。
Cloud Recognitionはカメラがとらえた映像をRestful Web APIで「Cloud Recognitionサーバー」に送信することで、サービス上にアップロードされたターゲット画像のトラッキングをサーバーが処理する。
計算能力の高い高性能サーバーに認識処理をゆだねることで大量のターゲットが存在しても高い認識率と迅速な応答を得ることができる。
Cloud Recognitionサービスでは、最大10万のターゲット画像を管理できる。大量のターゲット画像を必要とするような大規模ARシステムを開発する場合はアプリ内のストレージ容量などが妨げになりますが、Cloud Recognitionを利用することでストレージの問題も解決できる。
■Wikitude Targets API
Wikitude Targets APIはWebサイトの制作・管理を行うシステム(CMS)に保管されている画像を使って、ARアプリを開発したいという企業向けに開発されたWeb APIサービス。
CMSにある大量の画像をWikitude SDKが認識できるターゲットに変換する処理を自動化する。
【Wikitude SDKのエディションと価格】
■iOS/Androidスマートフォン向け
■Epson/Vuzixスマートグラス向け
※Wikitude Studio/Cloud Recognition/Targets APIの価格詳細はWebサイトの価格表など参照。
【関連リンク】
・グレープシティ株式会社
・Wikitude
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