マイクロソフトCEOのサティア ナデラ氏は、同社の第2四半期業績発表において、マイクロソフトのテクノロジを活用した顧客によるデジタルビジネスソリューションの様々な事例を紹介した。企業向けクラウド収益の年間56パーセントの成長率達成は、広範な地域や業種における顧客とパートナーの成功によるものだという。
今週には、大手広告代理店Publicis Groupe、アウトドアファッション業界のイノベーターColumbia Sportswear、そして、産業分野向けIoT、AR、3D CADなどの製品ライフサイクルマネージメントソリューションのリーダー企業であるPTCの事例を発表した。
Publicis Groupeは、世界中の8万人の従業員を支援するために新しいAIベースのプラットフォームMarcelをMicrosoft AzureとOffice 365上で構築。Columbia Sportswearは、世界中の顧客体験向上のためにDynamics 365とAzureを選択した。PTCは、Azureを優先的なクラウドプラットフォームとして選択したということだ。
今四半期におけるその他の顧客事例も、以下のとおりに発表された。
工業分野
工業分野では、世界の最高層ビルのエレベーターや航空宇宙関連機器などの数100万種の製品を製造し、サービスを提供するUnited Technologies Corp.(UTC)が、Dynamics 365とAzureを使用し、顧客ニーズの予測と対応を向上し、自社の大規模な現場オペレーションを支援しているという。
Chevronは、コスト削減、運用安全性、信頼性向上を目指して油田情報をインテリジェントにデジタル化するためにAzureを自社の主要クラウドとして採用したことを発表した。
消費者製品を製造する企業もマイクロソフトのクラウドでイノベーションを行なっている。
Kohlerは、家庭向け水回り用品を提供してきたが、今年同社は、キッチンと浴室向けの新しい製品ラインである Kohler Konnectによりコネクテッドホームの市場に参入した。たとえば、Azure IoTを使用したKohler Konnect製品により、音声やアプリのコマンドによって室温を調整したり、シャワーを出したりできるという。
不動産業界
不動産業界では、CBREが、投資家と居住者に対してビルの施設とサービスに対する単一のシームレスなアクセスポイントを提供するコネクテッドワークプレースソリューションにより、スマートビルディングの市場に参入。
Azure IoTを活用したCBRE 360モバイルアプリにより、ユーザーは同僚の位置を知り、ワークプレースのナビゲートや予約をし、ケータリングサービスなどのベーシックなものからハイエンドのコンシェルジュサービス等にもアクセスできる。
小売業界
小売業界では全国的な食料品チェーンであるKrogerがAzureを活用し、食料品の販売棚に価格や栄養関連情報を表示するデジタルディスプレイであるEDGE(Enhanced Display for Grocery Environment)のソリューションを構築した。同システムは大量のデータを管理し、店舗管理者と顧客のつながりを改善し、在庫切れを防ぐというものだ。
住宅リフォーム製品企業のLowe’sはFellow Robotsと協業し、在庫データと販売店の分析情報強化のため、自律型のLoweBotを構築した。LoweBotが店舗棚の在庫をスキャンすると共に、AzureがLowe’sを支援して在庫を常に維持し、販売員の負担を軽減して顧客サービスを向上するという。
スペインの大手靴販売チェーンのMerkal Calzadosは、商品の選択、マーケティングの改善、オムニチャネルの強化のために、小売、財務、業務、顧客サービス向けにDynamics 365を選択した。
カジュアルダイニング企業の1つであるBloomin’ Brands, Inc.は、97,000人のチームメンバーと約1,500軒のレストランのデジタルトランスフォーメーション支援のためにAzureを選択。
Outback Steakhouse、Bonefish Grill、Carrabba’s、Fleming’s Steakhouseの親会社である同社はAzure Advanced Analytics、機械学習、Power BIを活用し、モバイルアプリ、ウェブサイト、Eコマースを通じて顧客ロイヤルティプログラムなどの顧客サービスと利便性向上を実現しているという。
ヘルスケア業界
ヘルスケア業界では、UMB Bankの一部門であるUMB Healthcare Servicesが、Azure上の医療貯蓄口座(HSA)のソリューション改善を継続し、120万のHAS口座にシームレスな顧客体験を提供しているという。
たとえば、ReceiptVaultにより、HSAのオーナーは、ヘルスケア関連の領収書を安全に一カ所で管理できる。これは税務上重要な要件だ。
Aurora Health Careは、ウィスコンシン州東部とイリノイ州北部で15の病院、150以上のクリニック、70の薬局を運営している。
Premera Blue Crossは、太平洋岸北西部地域で最大の医療保険であり、UPMCは、米国最大のヘルスケアサービスネットワークだ。これらのパートナーはマイクロソフトと協力し、新しいAIを活用したヘルスケア向けボットのプロジェクトを開始。このボットは、Cognitive Servicesと多様な医療関連情報を活用し、顧客に医療関連情報へのセルフサービスのアクセスを提供するという。
政府機関では、Optiが構築したカンザス州のAzureによるソリューションが水の質を向上し、市民と地域企業のコスト削減に貢献している。このソリューションは、広範なデータを利用し、下水道システムへの雨水の流入を制御し、25年間かけてプログラム全体のコストを約10億ドル削減する予定だ。
決済テクノロジ
決済テクノロジの分野では、Mastercardが従業員のチームワークとイノベーションを支援するモダンワークプレースの提供のために、 Microsoft 365を選択。Mastercardは、現金のない世界というビジョンを実現するために、210カ国の消費者、金融機関、加盟店、企業をつないでいるという。
また、同社は、デジタルモバイルウォレットと報酬プログラム用アプリケーションであるMasterpassなどにAzureを活用している。
自動車業界
自動車業界では、Volkswagen Group Digitalが新たな形態のワークプレースを試行している。同社は、最近、Surface Book、Surface Pro、Surface Studio、Surface Hubを10XサービスデザインラボとFuture Centerに展開し、コラボレーションアプリケーションのDEONを稼働している。
Deutsche Bahn AGの一部門であるDB Schenkerは、航空便、陸送、海運の物流と契約業務にフォーカスしているが、インテリジェントな組み込み型セキュリティによりビジネスを保護し、グローバルなモバイルワークフォースの生産性を強化するためにWindows 10を採用したということだ。
【関連リンク】
・マイクロソフト(Microsoft)
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