芝浦工業大学理工学研究科の古川修特任教授をリーダーとした教員・学生のプロジェクトチームは、「ジャイロ制御による自転車転倒防止システム」のデモ機を、3月19日に同学大宮キャンパスで開催される「産学官連携研究交流会」で展示する。
このシステムは、低炭素社会を目指すさいたま市が低炭素型パーソナルモビリティの普及を目指す中で、同学が市から委託を受けて取り組んでいるもので、株式会社栄精機製作所の協力を得ながら研究開発を続けてきたものだ。
フライホイールを高速回転させることでジャイロモーメントを発生させて、低速走行時での転倒防止機能を持たせる。さらにその回転軸の振れ回し制御を行うことで、傾いた状態から垂直に戻す機能も備えている。
現在は実験機のため大きな機構となっているが、最終的には2~3kg程度とし、既存の自転車に搭載することができる装置として、2年後、2020年の製品化を目指している。
「ジャイロ制御による自転車転倒防止システム」のポイントは以下の通りだ。
- ジャイロ制御により、自転車の低速走行時の不安定さを改善して転倒を防止でき、また狭い通路も安全に走行できる
- 振れ回し制御により、傾いた状態から垂直に戻す機能も備えている
- 2~3kgの小型装置に改良予定で既存の自転車に搭載可能とする
- 全交通事故の十数パーセントに相当する自転車事故を防止
- 高齢者が安心して外出移動できる手段を提供し、高齢社会・健寿社会に貢献する
- 自動車から自転車への移動手段の移行により低炭素社会に貢献する
さいたま市では、低炭素社会の実現に向けて、低炭素型パーソナルモビリティの普及を目指している。そのためには「安全性の向上」が重要なポイントとなる。
特に、自転車等の事故が占める割合が近年増加している中、交通事故総合分析センターの分析によると、電動アシスト自転車の普及に伴い、高齢者や女性の利用者が増えたことから、自転車単独の事故では転倒に居たる可能性が高いことが示されている。
このため、転倒しない2輪モビリティの実現は、超高齢化社会において移動の自由さを維持しつつ、安全性を担保する移動手段の一つとして期待されている。
プロジェクトチームは、日本においては自転車保有が十分に普及しているため、既存の2輪モビリティに追加ユニットとして設置することを企図している。そのため、今後は制御機能の精度向上と同時に、2020年東京五輪を目処に、システムの小型化・軽量化を目指していき、製品化・普及、そして低炭素社会の実現に向けた取り組みを行っていくとしている。
【関連リンク】
・芝浦工業大学(Shibaura Institute of Technology)
・産学官連携研究交流会
・栄精機製作所(SAKAE SEIKI)
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