TISインテックグループのネクスウェイは、イオン九州が、同社のクラウドカメラサービス「売り場ウォッチ」を導入し、食品廃棄ロスとピーク時の欠品対策のPoC(概念実証)を福岡県の4店舗で行ったと発表した。
「売り場ウォッチ」は、売り場のリアルタイムなライブ映像を見られるほか、15分間隔で売り場の画像データをクラウド上に保存できるサービス。スーパーバイザー(SV)やエリアマネージャーなどが、それぞれの店舗のピーク時間帯や開店・閉店時の売り場の様子など、確認したい時間帯の売り場状況を、店舗に訪問しなくてもオンライン上で確認できる。
今回、イオン九州では、ホットデリカコーナーに「売り場ウォッチ」の専用カメラを設置。撮影された売り場の画像データを確認することで、ピーク時間前に人気商品の欠品を把握し、製造計画を修正してチャンスロスや製造のしすぎによる廃棄ロスを削減できるかの検証を行った。

その結果、一部店舗では、売り上げ実績の良しあしを確認した後、15分ごとに記録されているカメラの画像から、その要因や原因を検証することで、夕方のピーク時間帯で売れ筋商品の品切れを確認できた。これを受け、製造計画を変更。人気商品が夕方以降も売り場に並ぶように対応することで、夕方の売り上げの改善につながった。
また、カメラの画像によって、商品だけではなくPOPなどの販促資材、商品の整理状況も確認できるようになったため、売れるための演出や顧客が買い物しやすい売り場の維持ができているかを確認できるようになったという。
イオン九州では、スーパーバイザーが、店舗に臨店(本部のSVなどが指導・管理のために店舗を巡回すること)を行い、売り場づくりの指導をしているが、九州は広く、担当エリアも広いため、店舗間の移動距離も遠いことや、離島にも店舗があり、臨店に多くの時間が割かれていた。
また、ホットデリカコーナーは店内で製造しており、その日のうちに売り切る必要があるが、製造数が少ないと顧客のニーズに応えられず、製造しすぎると値引作業が発生するため、適切な製造計画の立案が難しい店舗があるという課題を抱えていた。
今回、これらの課題解決のため、イオン九州はネクスウェイの売り場ウォッチを導入し、課題改善の検証を行った。同社では、導入効果として、そのほかにも「ある店舗では、主任が不在にしているときの売り場の状況確認が、口頭や文書だけでなく『売り場ウォッチ』の画像を見ながらできるため、売り場主任と製造担当者間のコミュニケーションがよりスムーズになった」(コーポレーショントランスフォーメーション推進本部の山根和幸氏)という。
今後、ネクスウェイでは、実証実験の結果に加えて、イオン九州がクラウドカメラサービスの次の活用で視野に入れる、好成績店舗の売り場のよい点を自店に反映するといった利用もふまえた、同社の売り場づくりを支援していくとしている。
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