HONDAはCES2019に出展し、ロボティクス・モビリティー・エネルギーの3分野における技術力をアピールした。
同社はCES出展の狙いを「研究開発・事業化パートナーとの出会い」と位置付けている。CES2017ではオープンイノベーションの呼びかけを行い、CES2018では同社の重点領域の一つ、ロボティクスの方向性を提示した。
そして、今回のCES2019ではロボティクス・モビリティー・エネルギー領域で開発中の具体的な技術を出展。研究開発の促進・事業化に向けたパートナーを募るとした。
今回、HONDAが初めて披露したロボティクス技術の一つは、公共空間で自律移動するロボット「Honda P.A.T.H. Bot(パスボット)」(トップ画像)だ。
空港やデパートなどで既に実証実験が進められている自律型ロボットは、走行ルート上にヒトの存在を検知すると停止するしくみが一般的だ。しかし、パスボットの場合はヒトとヒトの間を「すりぬけ」ながら、最適なルートを検索して移動できることが特徴である。

機体の頭部にある2つのカメラでヒトや物体を検知。さらに、その検知したヒトが次の瞬間にどのように動くのかを予測するHONDA独自の技術により、ヒトとヒトの間をすりぬけることができるという。また、機体の腹部には、ヒトや物体と自分とのあいだの距離を認識する「LiDAR」が、足下には床面の状態を認識するセンサーが搭載されている。
また、パスボットの「足」はボール駆動になっており、何かにぶつかってもバランスを保ち、走行を続けることができる。これは、HONDAの二足歩行ロボット「ASIMO(アシモ)」の技術を応用することで実現した。
最高速度は時速6キロメートル。高さは1050メートルで、重量は21.5キログラムだ。HONDAはパスボットの実証実験パートナーを求めている。

また、屋外向け自律移動モビリティーのプラットフォーム「Honda Autonomous Work Vehicle(オートノマス ワーク ビークル)」も出展。昨年のCESでコンセプトを提示済みだが、改良を進めるとともに、昨年の出展をきっかけに始まった米国のパートナーと実証実験が進行中だ。
最後に、HONDAはこうした自社の技術を基盤とするロボット開発向けのソフトウェアプラットフォーム「Honda RaaS Platform」(RaaS:Robot as a service)を展開している。

ロボティクス技術を訴求し、CESをオープンイノベーションの出会いの場と明確にとらえるHONDA。2017年から続くその独自路線が今後どう展開されていくのか、注目される。
■CES2019レポート
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技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。