株式会社安川電機は、ロボットを簡単に生産ラインに導入するための「Easy to Use」の取り組みとして、ロボットの動作軌道を同社のロボットシミュレータ「MotoSimEG-VRC」上で自動生成するパスプランニング(Path Planning)機能を開発した。
同機能によりティーチング作業の一部を自動化することで作業者の負担を軽減させ、迅速かつ効率的な生産システムのセットアップや段取り替えが可能になる。
同社は新長期経営計画「2025年ビジョン」で同社のメカトロニクス技術とICT技術を融合することで産業自動化革命を実現させることを掲げているが、近年、ニーズの多様化やITの進化により、変種変量の生産を短納期で実現することが製造業全体の課題となっている。
これに伴い生産システムのセットアップや段取り替えに要する時間の短縮化、およびそれを支えるIoTや知能化などの高度な技術が求められている。特に産業用ロボットでは「ティーチング」と呼ばれるロボットに動作を教える作業がユーザーにとって大きな負担となることがあり、ロボット導入障壁の1つになっていた。
同機能によりロボットの動作軌道を自動生成することが可能になり、このような課題を解決する。
パスプランニング機能の適用としてバイオメディカルロボットシステムや部品配膳システムなどを見込んでおり、これらの機能をさらに進化させ、様々な産業分野の用途に適用しながら自動化を推進していく。
なお、この部品配膳システムは、2016年6月15日(水)~17日(金)に開催されるロボット産業マッチングフェア北九州(場所:北九州総合展示場)に参考出品される。
主な特長
ティーチングレス
同社のロボットシミュレータ「MotoSimEG-VRC」上で動作開始姿勢と終了姿勢、および動作 生成条件を入力することで周辺障害物を回避した軌道を自動生成するため、ティーチング時間を大幅に削減できる。
安心プレイバック
生成された軌道は同社のロボットプログラミング言語で動作するため、高速・高精度なプレイバックが可能。また、障害物との干渉回避のみならず、障害物との間に任意のクリアランス(空間)を保障しながらタクトタイムの短い動作を高速に生成する。このため、シミュレーション環境と実際の環境に誤差があっても安心してプレイバックできる。
液体を入れた容器も搬送可能
把持した対象物の姿勢を一定に維持した軌道の生成が可能なため、液体を入れた容器を搬送する際などにも活用できる。
双腕ロボットにも対応
ティーチングが難しい双腕ロボットでも、左右のアームがぶつからないような軌道を簡単に生成することができる。
パスプランニング機能の適用例
バイオメディカルロボットシステム
同社では創薬・製薬・臨床検査などの分野での自動化を実現するバイオメディカルロボットシステムを開発している。バイオメディカルの研究分野では頻繁に実験プロトコル(作業手順)の変更が発生し、その都度ロボットの動作プログラムを変更する必要があるが、同機能によりロボットの専門家がいなくてもその場ですぐにプログラムを自動変更することができる。また緊急停止した場合の復帰動作も自動で実行可能。同機能は既にバイオメディカルロボットシステムに組み込まれており、今後さらなる機能追加・性能向上を図っていくという。
部品配膳システム
部品配膳作業のティーチングレス化への適用・検証を進めている。同機能と3次元形状認識機能および把持・持ち替え動作を自動生成する機能との融合によって、動作プログラムが都度自動生成されタクトタイムの短縮が可能となる。
【関連リンク】
・安川電機(YEC)
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