株式会社安川電機は、研磨などの熟練を要する複雑な接触作業のロボット化を促進するために、人が手本を示す(実演する)ことでロボットに動きを直感的に教える「実演教示機能」を開発した。
同社は長期経営計画「2025年ビジョン」でメカトロニクス技術とICT技術の融合に取り組み、新しい自動化のソリューションを提供することを掲げている。近年、先進国の少子高齢化による労働力不足、新興国の物価・賃金の上昇によるコスト増加が課題となっており、より一層の産業用ロボットの導入が期待されている。ところが、産業用ロボットには「教示」と呼ばれるロボットに動作を教える作業がユーザーにとって大きな負担になることがあり、導入障壁の一つになっていた。
同機能により、教示に関するユーザーの負担を軽減するとともに、ロボットシステムの立上げ時間の大幅な短縮が可能になるという。実演教示機能の適用は、研磨や組立などの複雑な接触作業を見込んでおり、今後は実作業で検証しながら作業品質や使い勝手の向上を目指すとしている。
主な特長は以下の通り。
- 人の手本(実演)による簡単教示
人が作業を実演している最中の手先の位置姿勢や力をセンサで計測し、その計測データをロボットの動作に自動変換することで動作を教示。ペンダント操作に不慣れでも、実演による教示であれば、研磨のようなワークの曲面形状に合わせた3次元的な軌道と力加減を短時間で簡単に教示することができる。また、短時間で教示ができるため、多品種対応が容易になるという。 - 学習機能による熟練作業者のスキルの再現
現状のロボットは位置姿勢を再現することは得意だが、力加減を再現することは得意ではない。人が練習を繰り返すことで上達するのと同様に、ロボットが自ら練習を繰り返す(学習する)ことで、教示した熟練作業者の力加減(スキル)を再現できるという。また、生産ラインのレイアウト変更によりロボットと研磨機の配置が変わったとしても、再学習することで実演時のスキルを簡単に再現できるため、短時間でラインを再稼働させることができる。教示データは再利用性が高く、異なるロボットで共有することも可能としている。
主な用途は以下の通り。
- 金属ワーク(自動車部品、水栓金具、時計など)の研磨やバリ取り
- 組立作業
【関連リンク】
・安川電機(YEC)
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