オムロンは「人と機械の融和」をコンセプトに2013年に卓球ロボット「フォルフェウス」リリースし、それ以来「機械による人の能力の引き出し」を軸に毎年技術を進化させてきた。
そして今年、新たに①サーブ機能、②スマッシュ対応機能などを追加し、「初心者から上級者など幅広い人が卓球ラリーを楽しめる」ロボットとしてバージョンアップした。
昨年、オムロンのコア技術「センシング&コントロール+Think」にAI技術「時系列ディープラーニング」を実装したことで、学習結果を基にしてラリー相手のレベルを判断、ラリー相手のレベルを理解し、その人に合わせた返球を行うことが可能となった。
そして4代目となる今年の「フォルフェウス」は、”ラリー相手を更に拡大する”ことを新たな技術進化の軸として追加した。
機械が人の特性を理解して、相手に合わせることでより多くの人が卓球ラリーを楽しみ、さらに相手の能力が引き出されることを目標に開発。上級者がやりたいと思う「スマッシュへの対応」と、初心者には難しい「ロボットによるサーブ代替」をする機能を実装した。
新機能の詳細は以下の通りだ。
- サーブ機能
初心者の約30%が失敗するサーブをロボットが行うことで、卓球ラリーの開始を補助する機能。トスを上げるために新たに追加したロボット (オムロン製 垂直多関節ロボット「Viper (ヴァイパー) 650」) と、「フォルフェウス」に使われている2台のコントローラーを1/100秒以下の精度で「同期制御」することで、2台のロボットがトスを上げてサーブを打つことができる。 - スマッシュ対応機能
上級者などがやりたいと思うスマッシュに対応することで、より高度な卓球ラリーを堪能できる機能。ラリー相手の身体の動きを人体センサーで検知し、時系列ディープラーニングで解析することで、ラリー相手がスマッシュを打とうとする気配・意図を「フォルフェウス」が読み取る。そしてラリー相手がスマッシュを打つと「フォルフェウス」が判断した場合、スマッシュが打ち込まれそうな位置を予測して待機する。また、卓球のボールを追従するアルゴリズムを高速化したことで、時速40キロ~80キロのスマッシュへの対応が可能となった。
実際にCEATEC JAPAN 2017でお披露目となった第4代フォルフェウスがこちら。
そしてこちらは、まさに今回追加された機能であるトスを上げて、サーブを打つ瞬間。左にあるのが垂直多関節ロボット「Viper (ヴァイパー) 650」だ。
サーブを打った瞬間はラリーレベルが71と表示されていたが、ラリーが続いた後は76へとレベルアップしていた。これはAIによってフォルフェウスがラリー状態を認識していることを意味する。
そして、第4代フォルフェウスのもう一つの特長は「しゃべる」こと。またしゃべった内容はこのように表示される。相手のレベルを認識し、対応を変えていることがわかる。
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・オムロン(OMRON)
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技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。