大和ハウス工業株式会社は、2018年3月6日より、狭小空間点検ロボット「moogle evo(モーグル エヴォ)」の販売を開始した。
同社は、少子高齢化や女性の社会進出が進む中で、ロボット技術の開発と普及を目指して、2008年10月に、ロボット事業推進室を立ち上げている。
2012年10月には、戸建住宅の床下空間や溝などの点検ができるよう、住宅メーカー・工務店・リフォーム会社向けに狭小空間点検ロボット「moogle」を発売。これまで約300台を供給してきた。
そして今回、同社はさらなるロボット技術の革新を進め、従来の「moogle」の機能に加え、インフラ点検に有効な新機能を搭載したロボット「moogle evo」を発売することとした。
1960年代に一斉に整備された橋や道路などのインフラは、耐用年数とされる50年を超え老朽化が進む中、国土交通省は、インフラ管理者に5年に1度の定期的な点検と詳細な損傷内容の把握を求めている。
橋梁定期点検要領(平成26年6月、国土交通省道路局)では、供用開始後2年以内に初回の定期点検を行い、以降は5年に1回の頻度で行うこととされている。
また、損傷評価基準ではコンクリート部材のひびわれ幅の損傷程度の評価区分において0.1mm以上のひびわれ幅を識別することが求められている(小程度の損傷として、RC構造物0.2mm未満、PC構造物0.1mm未満と規定)。
なお、同要領では、点検は近接目視により行うことを基本とすると定められている。
そこで同社は、点検カメラの性能やクラック(ひび割れ)判定機能を向上させた「moogle evo」を開発することとなった。
点検カメラの解像度を従来の約4倍に高め、より微細なクラックを認識できるとともに、クラック幅に応じて自動で色分け表示する機能を追加。橋梁や共同溝などでの効率的なインフラ点検をサポートするとした。
モグラ(mole)に模したデザインで、床下にもぐるということから命名された「moogle evo」は、今回新たに次の6つの機能が追加された。
- 高解像度カメラ:
解像度を約4倍に高め、クラック(ひび割れ)幅を従来の0.3mmから0.1mmまで確認可能に。 - クラック幅自動判定機能:
クラック幅に応じて自動で色分けし表示(青:0.1~0.19mm、黄:0.20~0.39mm、赤:0.40~mm)することで、高精度な判定が可能に。 - コードレス無線中継器:バッテリーで駆動する無線中継器を採用することで、最大200mまで通信が可能になる。また、コンセントが不要となり、屋外での検査が容易になる。
- 温度・湿度計:
水漏れ確認を促せるよう、点検箇所の温度・湿度を測定し、モニターに表示。 - バッテリーの長時間化:
連続稼働可能時間を約2倍まで向上させ、最大2.8時間連続で稼働できる。 - LANポートの追加:
moogle本体にLANポート(1口)を追加、有線LANによる操作が可能になる。また、moogle本体にLAN接続可能な機器を搭載することで簡単に機能の拡張ができる。
「moogle evo(モーグル エヴォ)」の商品概要は以下の通りだ。
・販売価格:280万円(税抜き・5年保証)、260万円(税抜き・1年保証・買取)
・リース価格:4.8~5万円/月前後(5年リース)※同社指定のリース会社参考価格であり、利率などにより変動がある。
・販売地域:全国(利用できない地域もある)
・販売対象:住宅メーカー・建設業者・リフォーム業者・不動産会社・インフラ点検測量業者・道路関係・ゼネコン・など
・販売目標:年間100台
・本体寸法:全長 495mm、全幅 250mm、全高 280mm
・本体質量:約12kg
・乗り越え可能段差高さ:15cm(走行条件による)
・連続使用時間:最大2.8時間(走行条件による)
【関連リンク】
・大和ハウス工業(DAIWA HOUSE INDUSTRY)
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