株式会社メルティンMMI(以下、MELTIN)は、2018年3月12日に独自開発のアバターロボット「MELTANT-α(メルタント・アルファ)」を発表した。
MELTINは身体による限界を突破し、人類の創造性を開放するためのサイボーグ技術の開発を目指している。
その第一歩として、身体の動作を忠実に解析する「生体信号処理技術」と、生体模倣から着想を得た「ロボット機構制御技術」をコア技術とするサイボーグ技術を使って、実用可能な「筋電義手」を開発してきた。
MELTANT-αはそのサイボーグ技術のノウハウを活かして開発したアバターロボットのコンセプトモデルだ。
人に最も近い「手」の動作が可能なこのモデルは、柔軟性、スピード、パワー、耐久性、緻密さ、などの複雑な動きができるため、世界のどこへでも進出可能な「もうひとつの身体」となるという。
1. 生体模倣により、力強さと器用さを兼ね備えた世界初のロボットハンドを実現
MELTANT-αの手の動作構造は、人の身体、特に筋肉と腱の構造を徹底的にリサーチし、人の手を“生物模倣”することから着想を得ている。
人の手は、複数の筋肉群が複数の関節を動かすことによって動作する。MELTINはこの人の手の複雑な動作をワイヤー駆動によって再現し、従来のロボットにはない力強く繊細な動きが、人の手と同等のサイズ・重量で可能になったという。
手の構造を模倣したワイヤー駆動により、片手でも2kgのボトルを持ち上げたり、4kg以上の物体を両手で支えるといった強力な動作が可能。
この技術はアクチュエータに依存しないため、油圧など他のアクチュエータと組み合わせることが可能だ。
従来の技術ではワイヤー駆動は制御が難しく、人の手のような繊細な動きを再現することは困難だった。
しかしMELTANT-αは独自の制御アルゴリズムによって、卵を割らずにつかんだり、ペットボトルのキャップを開けたりするような、緻密な動作を行うことが可能だ。
2. 地球の裏側や宇宙でも遠隔作業できる分身、多様な応用可能性
MELTANT-αはさらに遠隔操作性、リアルタイム性、耐久性、ハプティクスを備え、世界のあらゆる場所へ進出可能な「分身=アバター」となるという。
- 遠隔操作性:18,900km離れた場所からの操作を実証
- リアルタイム性:人の手の動作速度をほぼ遅延なく再現可能
- 耐久性:高い耐故障性とフェイルセーフ機能により過酷な環境でも作業可能
- ハプティクス:力覚をフィードバックする事で力加減を調整可能
MELTINは、力強さと繊細な動きを両立できないという、ロボットハンドが抱えていた最も重要な課題をMELTANT-αで解決したことで、従来は困難であった複雑な作業が可能になったとしている。
同社は、MELTANT-αをベースとしてハンド単体、ハンド・アーム、全身の3プロダクトを展開する。
- 危険環境(災害、高所、高温、水中、化学・生物・放射能汚染、爆発物除去)
- 極限環境(宇宙、深海)
- リモートワーク(遠隔勤務、アバター出張、夜間警備)
- 観光・エンタメ(アバター旅行)
- 農林水産・食品・物流(農作物収穫、魚介類捕獲、加工、ピッキング)
- 医療・福祉(介護、アバター外出、遠隔手術)
【関連リンク】
・メルティンMMI(MELTIN)
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