従量課金型のコワーキングスペースを目指す
NTT都市開発は2018年4月よりシェアオフィス事業「LIFORK」を立ち上げ、2019年4月までに秋葉原(2拠点)・大手町・南青山・上北沢・川崎の6拠点をオープンさせている。
同社は2019年4月の「LIFORK大手町」リニューアルオープンに伴い、コワーキングスペースにおける「月額上限付き」の「従量課金制」を実現しようとしたという。しかし、実現のためには利用者ごとの入退室の時間を正確に把握し、決済システムとも連動させることが必要となる。
また、将来的にコワーキングスペースを増やすことを考えても、「会員の管理と課金部分は自社運営をすべき」という考えがあった。
そこでNTT都市開発が導入したのが、既設の電気錠や自動ドアの開閉を制御することができ、APIを活用した外部クラウドサービスとの連携ができる「Akerunコントローラー」だ。
従量課金型コワーキングスペースの仕組み
利用の流れはトップ画像を参考にしてほしい。
まず、コワーキングスペースの利用者は、エントランスに設置されているNFCリーダーにICカードをかざす。NFCリーダーはBluetooth経由でAkerunコントローラーにデータを送信し、正当性を判断の上、Akerunコントローラーがエントランスにあるドアの電子錠のロックを解除する。
その際、「いつ」、「だれが」、開閉したのかをコントローラー内に記録(100万件まで記録が可能)する。記録されたデータは、ルーターなどを介して、クラウドに送信、蓄積されるのだ。
さらに、蓄積された開閉データは、APIを経由して、NTT都市開発が作っている自社システムと連携し、蓄積。利用者のIDから利用者の氏名や決済情報などを割り出し、利用者ごとの施設利用時間を積算する。
そして、積算された時間に応じた利用料金を、利用者に請求するという仕組みだ。
NTT都市開発は、コワーキングスペースのエントランスでリーダーにタッチする際の認証音を、通常より高いキーに設定するよう、フォトシンスに要請したという。
これは従量課金制を前提とした利用となるため、キーをタッチして時間が記録されたかどうかを利用者が認識できるようにするための工夫だ。
新しいビジネスモデルによる効果
今回の取り組みを通して、「利用状況に応じた、後払い方式のコワーキングスペース」が実現できたのだが、一般的にはコワーキングスペースは利用料金が固定で、前払いが原則となる。
「使った分だけ支払う」というビジネスモデルができたことで、コワーキングスペース利用のハードルを下げることができたといえる。
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1986年千葉県生まれ。出版関連会社勤務の後、フリーランスのライターを経て「IoTNEWS」編集部所属。現在、デジタルをビジネスに取り込むことで生まれる価値について研究中。IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。