レジ回りの煩わしさを解消しストレスフリーな店舗へ
クラスメソッド株式会社は、秋葉原で完全キャッシュレス決済の「Developers.IO CAFE」を運営している。
開発のきっかけとなったのは、2018年5月に行ったクラスメソッド代表取締役 横田聡氏のシアトル「Amazon GO」の店舗視察だ。(Amazon GOは2018年1月よりウォークスルー決済を取り入れた店舗として一般顧客向けにオープンしている)
このAmazon GOでの店舗体験を経て、顧客側の目線に立った時に課題となっているのは、レジ回り、主に決済に関する煩わしさだ、と感じた横田氏は、帰国後直ぐにキャッシュレス店舗の開発に取り組んだ。
2種類のキャッシュレス店舗体験
モバイルオーダー、店頭では商品をうけとるだけ
WEBサイト上で注文、決済までを行う。
商品はそれぞれおすすめのトッピング等を追加することができ、1度の注文(決済)で商品1つまで注文が可能となっている。
受け取り方法は、カウンターでの呼び出しで受け取る、テーブル席にあるQRコードを読み取りテーブル席まで届けてもらう、の2種類の方法が用意されている。
注文した品は番号で管理され、受け取りカウンター上部のモニターに準備中の旨が表示される。
また、全ての開発はできるだけ選択肢をなくした「シンプルなUI設計」を軸として行われたため、サイトの画面も見やすさ、わかりやすさが全面に出たものとなっている。
そのため、複数注文や領収書の発行等、技術的には対応可能な機能であっても取り入れていないというのが現状だ。しかし、利用者が増えるにつれ要望も増えてきており、「シンプルさ」と「利用者の要望」をどう整合性をとっていくかというところが今後の開発のポイントとなっている。
※利用者からの要望が多かったため、現在は複数注文、領収書の発行ともに対応可能となっている。
モバイルオーダーによってレジ回りの機能がWEBへ移行し、店舗で行わなければならない工程が受け渡しのみとなっている。
これにより、受け取り側もレジ回りでのわずらわしさがなくなるだけでなく、店員側の手間も減っている。
省人化店舗とウォークスルー決済の実現
QRコード読取で入店し、陳列棚から商品を手に取り出口から出ると決済が完了する。
店舗内には10数個のToFセンサー(赤外線センサー)が設置され、人物のトラッキング、手の動き等を3Dデータとして測定し、QRコードの入店情報と結び付けている。
また、棚には商品ごとに重量センサー付きのカゴが設置されている。重量センサーは1g単位で計測を行い、商品を取った際の重量の変化で個数を判別している。ウォークスルー決済エリアから出ていなければ一度とった商品を棚に戻すことも可能だ。
重量センサー付きのカゴは手作りのものだ。市販されているものはサイズが大きく棚に合うものがなかったという。
上記の2種類のセンサーから、入店状態の人の動線と棚から取られた製品とを結び付けて決済を行う。
退店後、スマホに商品名と決済完了の通知が届き、購入が完了する。購入後すぐは返品対応が出来るようになっている。
また、顧客側のストレスフリーな店舗体験を提供しているDevelopers.IO CAFEだが、そのメリットは店舗の運営側にもある。
開店前の金種の用意や閉店後のレジ締め、売上金の回収などの業務が必要なくなったため、業務時間や人数の削減が実現している。現在はシフトを組み2~3人で対応しているが、開店当初は1人で運営出来るほどだった。
ウォークスルー決済システム構成図
計算処理等を全てAWSのクラウド上で行うことでサーバーレスなサービスとなっている。
ウォークスルー決済の今後の課題
ウォークスルー決済を開始した当初は、複数人での利用は出来ず、一度に1人までの利用となっていた。
理由としては、利用している赤外線センサーの精度では複数人が重なるように接近して立っている状態の時に誰が商品を持ったか判別がつかないという現象が起きたためであった。
現在はセンサーの精度をあげ、個数を増やしたことで解消しており、人数制限もなくなっている。
また問い合わせはあるものの、現状ではパッケージサービスとして提供する段階ではないので、当面は個別の案件として対応していきたいとのことだ。
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