ビル全体のエネルギー最適化を図ることが出来るビルをスマートビルディングという。
IoTを活用し、ビル全体を管理するBEMSと呼ばれるシステムと、ビル内の設備を連携させることで、ビル内の環境に滞在する人間の快適性を損なうこと無く、最大限のエネルギー最適化を実現する。
また、最近では、効率的な作業が行われ、生産性を高めることのできる空間としての役割も持つ。
本記事では、スマートビルディングの効果やその事例について紹介する。
BEMSとは
「Building Energy Management System」の頭文字を取ったもので、ビルエネルギー管理システムのことである。空調や照明、配電機器などの電力状況の見える化や制御を行うシステムである。
BEMSを導入することで、機器の運転状況やエネルギー消費を可視化し、制御を行うことができる。
業務用ビルからのCO2排出は日本のCO2排出の1割程度を占めており、今後も増加が予想されることから、BEMSの導入は温暖化に対する有効な対策であると言える。
スマートビルディングの効果
エネルギー最適化
様々なシステムの利用データや建物内のセンサーからの取得データを分析することで、建物のエネルギー運用に関する無駄やムラを発見することができる。
例えば、建物内の至る所に温湿度センサーをつけることで、冷房が狙い通りに部屋を冷やしているのかを確認することができ、時間帯や場所に応じて適切な設定をすることができる。
安全性向上
監視カメラや入退室管理の情報から、不審者の侵入や異常な行動を検知することができる。また、混雑状況や人の流れを分析することで、警備員の最適配置を行うことも可能だ。
地震発生時には、センサーが揺れを感知し、そのデータを分析することで、建物の損傷度を判定することができる。
生産性向上
働く空間の快適さは、生産性に大きな影響を与える。スマートビルでは働く個人が紐づけられ、その個人に応じた照明や冷房の設定が可能になる。
従業員の位置情報を可視化することで、在席状況や所在を確認することができる。
スマートビルディング事例
渋谷ソラスタ
[参考リリース]
「渋谷ソラスタ(SHIBUYA SOLASTA)」竣工 四季を感じられる空間とIoTを活用したスマートオフィスの提供を通じ より生産性の高いワークスタイルをサポート
2019年3月29日に竣工された渋谷ソラスタは、入居する企業と従業員の快適性と利便性の向上に貢献するために、株式会社MyCityと東急不動産の共創によって開発した IoT サービスを導入している。
従業員は、様々なセンサーや設備機器からのデータによるリアルタイムな情報を、PCだけでなく、スマートフォンからでも取得できる。
ソフトバンク、IoT・AI活用したスマートビルへ本社を移転
[参考記事]
ソフトバンク、「竹芝地区開発計画」のIoT・AI活用したスマートビルに本社を移転
ソフトバンクは、2020年中に東急不動産が開発するオフィスビルへ本社を移転すると発表した。
このビルは、ソフトバンクと東急不動産が、AIやIoTを活用してビル内外の人流データや環境データを収集・解析し、快適な環境整備と効率的なビル管理に役立てるスマートビルのモデルケースとして構築される。
テラスやフリースペース、その他共用部分などの屋内外に設置された多数のカメラやIoTセンサーから、温度や湿度、CO2(二酸化炭素)濃度などの環境情報のほか、ビル内や周辺の人流データ、混雑情報などが、ソフトバンクの「IoTプラットフォーム」に収集され、リアルタイムで解析される。
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大学卒業後、メーカーに勤務。生産技術職として新規ラインの立ち上げや、工場内のカイゼン業務に携わる。2019年7月に入社し、製造業を中心としたIoTの可能性について探求中。