昨今、労働力の不足から社会の省人化・無人化に対する意識が高まっている。
本記事で取り上げるのはその中でも特に今後の労働力不足が懸念されている小売業だ。
経済産業省が2025年までにコンビニでの全ての取り扱い商品に電子タグを利用することについてコンビニ各社と合意するという内容の、「コンビニ電子タグ1000憶枚宣言」を策定してから2年が、日本チェーンドラッグストア協会と「ドラッグストアスマート化宣言」を策定してから1年が経過した。
現在の店舗運営で人員を割かれる作業は大きく分けて、店頭での接客対応と、バックヤードの在庫管理・棚卸し作業の2つがある。
在庫管理ソリューションについてはこちらの記事で紹介している。
小売業における在庫管理ソリューション3選
本記事では店頭での接客対応の省人化に焦点を当て紹介する。
商品ケースでの販売
Liquidとパナソニック「無人販売ショーケース」
「無人販売ショーケース」は、予め登録した顧客の生体情報(指紋)を生体認証スキャナーにかざしてショーケースのドアを開け、欲しい商品を選んで手に取ると、RFID読み取り技術で、手にした商品を追跡する。その後、生体認証と連動した決済ソリューション「PASS」を通じて、ショーケース前面に設置されたディスプレイに購入したい商品と価格が表示され、商品購入が完了する仕組みだ。
購入者側のメリットとしては、商品バーコードの読み取りや、漏洩が心配なパスワードの入力、カードの紛失などから解放される、等がある。最初に使う際に登録が必要となるのがネックであるが、上記の理由から2回目からの利用はスムーズに行える。
オフィスなどに向けた無人コンビニ「600」
支払い方法をロケーションに合わせたものに限定(オフィスならクレジット決済、駅構内なら交通系IC、など)することでユーザーの迷いをなくす、をコンセプトとしている。アプリなどのダウンロードも不要で支払い方法を選択する必要などもないのが特徴だ。
周遊可能な店舗での販売
Developers.IO CAFEの「ウォークスルー決済」
「Amazon GO」を参考に、レジ回りの主に決済に関するわずらわしさを解消するために開発された。
ブラウザ上でユーザー登録を行いQRコードをかざして来店。赤外線センサー(3Dデータ)で人物のトラッキングと手の動き等を測定し、商品棚に取り付けられた重量センサーの重量変化と3Dデータを結び付けることでどの人物がその商品を手にとったかを判別し、店舗エリアから退店後自動的に決済を行う。
現在の決済回りの店舗ソリューションはほとんどECと同じ仕組みで再現可能だ。
問題となるのは、どの商品が実際に取り出されているかの測定であり、その商品情報と購入者を結び付ける必要があるという点だ。
今回紹介したソリューションではRFIDタグや位置データ・重量データが使用されているが、RFIDタグは食品等の電子レンジでの温めが出来ない、アルミ製品への貼り付けや水滴が発生する商品への貼り付けには課題が残っており、また、赤外線センサーでの人の測定では複数の人が接近しすぎると測定が難しくなるなどの課題が残っている。
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