本記事は幕張メッセにて開催された2020年2月5~7日にJapanマーケティングWeek2020春レポート第2弾となる。
動画から顧客行動を解析する「go insight」
コニカミノルタ マーケティングサービス株式会社は、商品棚の前の顧客行動解析を行いたいメーカー向けのサービス「go insight」を展示していた。
「go insight」はコニカミノルタが持つ光学技術を活用した属性・行動認識テクノロジーで、動画から顧客情報・行動を解析しPOPの効果測定や競合商品との比較を行う。
測定を行うのはコニカミノルタが提携しているスーパーやドラッグストアの商品陳列棚だ。ひとつの商品(または商品群)の測定のために、その商品のみではなく棚全体をカメラで撮影する。
動画から判別できる情報は、属性情報、滞在時間、棚前行動(手を伸ばして商品を取る、視線の動きなど)、競合商品といったものだ。
ブースで見せていただいた資料(写真撮影は不可であったが)では、ある商品に対して購入行動分析を行った際に、その商品の購入に至った回数は他の商品より少ないが、他の商品よりも手に取られた回数が多いという結果が出ていた。
接触はされているのに購入に至っていないということは、つまり、購入に至るにはまだ何か足りないファクターがあり、あと一押しがあれば売り上げが上がる可能性がある商品ということ。
このように、どれだけ手に取られたかに注目するだけでも商品が持つ底力というものが見えてくるという。
こういったデータは最終的な売り上げしか見ることのできないPOSデータでは測れない指標だ。
レポート1でも述べたが、ECサイトはカートに入れた、商品のページを見たという顧客行動を測定しているが、実店舗ではそれが出来ていなかったという現状がある。
また、レポート1で挙げた顧客行動解析を行っている3社は全て流通側(小売)だ。
流通は、あくまでも顧客が店舗でどのように商品と接し選んでいるのかを測定し、店舗の作り方や顧客接点の生み出し方を探るために分析を行っており、個々の商品に対してパッケージや販促物の効果測定したり、売れない商品を売れるように改善したりするわけではない。
「go insight」のように、メーカー側が店舗での効果測定を行い販促物に効果があると定量的に示すことが出来れば、流通との販促物を置く交渉がしやすくなるというメリットがあり、また流通側にとっても在庫リスクを減らすことが出来るというメリットがある。
拡がる動画解析とプライバシー情報を扱う責任
コニカミノルタが解析に使用する映像は利用者の顔に自動的にモザイク処理がかかるようになっている。
これは顔の動画情報が個人情報に当ってしまうとプライバシーの問題がでてくるからだ。
IoT推進コンソーシアム、経済産業省及び総務省が公表した「カメラ画像利活用ガイドブックver2.0」では、以下の図のように事業者が配慮すべき範囲は法律が定めている個人情報保護法の適応範囲とプライバシー保護の観点から考慮が必要になる範囲、と位置付けている。
「go insight」は、顔ではなく骨格情報で属性を判断しているという。
そのため、個人を特定するようなこと、例えばリピーターが知りたいというニーズには答えることが出来ないが、個人情報の保護に配慮したサービスになっているとのことだ。
ちなみに、ガイドラインでは個人を特定することを目的としないリピート分析(リピーターが何回来ているか測定すること)は個人情報に当らないとしている。
リピート分析とは、取得した顔の特徴データ(顔データ自体は解析後に即削除する必要があるが)が一致する同一人物が来店した際に、その購買経歴や推定される属性(性別、年代など)を一定期間にわたり内部で連携しつつ取得し分析することだ。
特定の個人を識別できないよう情報を加工する必要と、別のデータベースで保持している会員データなどと結び付けてはいけないという制約はあるが、プライバシー保護の観点から見ても問題のないリピーターの分析は不可能ではない。
また、さらに映像分析を行うにあたって必要なのは、カメラを設置し情報を解析していることを利用者に知らせることだ。
タッググループのブースでは店の雰囲気を壊さずに動画解析カメラを置くことが出来るマネキンが展示されていた。

特にアパレル等の空間でブランドの世界観を作る必要のある店舗では、顧客の店舗体験が購入意思決定の重要なポイントとなるため、このように顧客にカメラを意識させずにゆっくりと店内を回ることが出来る工夫が必要になってくる。
しかし、同時に事業者にはカメラを設置し動画解析を行っていることを顧客に知らせる責任があり、データ解析のために店舗が居心地の悪い空間になってしまわないよう、顧客の目線を意識して貴重な接触機会である店舗空間を作っていく必要がある。
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