大日本印刷株式会社(以下、DNP)は、ICカード技術を応用した情報セキュリティ機能とIoTの利便性をともに高めるオフィス機器を開発する。IoT環境にセキュリティ機能を付与するDNPのサービス「IoST(Internet of Secure Things)プラットフォーム(※)」をオフィス機器に組み込むことで、インターネットにつながるオフィス機器をサイバー攻撃などから守る機能を高めるという。第一弾として、セキュリティゲートなどを提供する株式会社クマヒラと協業を開始すると発表した。
協業により開発するオフィス機器は以下の通り。
- サテライトオフィス向け各種機器
DNPのIoSTプラットフォームの活用によって、複数の企業が共用するサテライトオフィスに設置するパソコンや複合機、入退室システム、監視カメラなどが、インターネットを経由して安全に企業のサーバーに接続できるようにする。これにより、勤怠管理などが適切に行えるようになるという。DNPは、社員証ICカードとそれに関連する本人認証システムも提供しており、これらを今回開発する機器と組み合わせることで、人とモノの両方のセキュリティ性の向上につなげていくとしている。 - 可搬式セキュリティゲート
クマヒラは、運搬可能な「可搬式セキュリティゲート」の提供を検討している。従来の専用回線を使用する据え置き式のセキュリティゲートに対して、可搬式セキュリティゲートはモバイル回線や無線LANなどのオープンなネットワーク環境での利用が想定されるため、今回、セキュアICチップを組み込むことでセキュリティ機能の向上を目指すという。サテライトオフィスのほか、短期間に実施されるイベントやコンサート会場などでも利用可能で、省人化にも貢献するとしている。
今回、IoSTプラットフォームを活用して開発する機器・サービスは、2017年度末から提供される予定。また、オフィス機器メーカーと連携して、機器認証用の暗号鍵・デジタル証明書の管理のほか、リモートでの機器の保守サービスなども提供するという。DNPは、オフィス機器や社会インフラシステムなどの機器ベンダーと連携して、IoSTプラットフォームの事業を推進していくとしている。
※DNPのIoSTプラットフォーム:ICカードに搭載されるICチップは、演算機能と暗号機能を有し、ICカードとそれを読み取る端末が相互認証するための暗号文の作成と照合によって、それぞれの正当性を確認し合うことができる。DNPのIoSTプラットフォームは、このセキュアICチップをIoT機器へ組み込むことで、機器とサービスの間の相互認証および通信データの暗号化、機器が取得・生成するデータの正当性の確認などを行う。同時に機器が取得・生成するデータや、機器に搭載されているソフトウエアの盗聴・窃取・改ざんを防止する。
【関連リンク】
・大日本印刷(DNP)
・IoSTプラットフォーム
・クマヒラ(Kumahira)
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