IDC Japan株式会社は、世界のスマートシティ関連テクノロジーの支出額予測を発表した。最新のWorldwide Semiannual Smart Cities Spending Guideでは100を超える都市と30のユースケースが含まれ、スマートシティの投資優先順位、計画、およびユースケースについての知見を提供している。
スマートシティ・イニシアティブに対する全世界の支出は2019年には958億ドルに達し、2018年から17.7%増加すると予測。シンガポール、ニューヨークシティ、東京、およびロンドンは今年、スマートシティ計画にそれぞれ10億ドル以上を投資する予定だ。
「スマートシティ市場は非常に活発ですが、大規模な統合プロジェクトの予算を確保している都市は、ごくわずかです。100都市からなる我々のデータベースには、世界中の大都市や革新的な都市が含まれていますが、世界のスマートシティ支出額で見ると、4分の1程度を占めるにすぎません」と、米国IDC Customer Insights & Analysis Group プログラムマネージャーのセレナ・ダ・ロル氏は述べている。
さらに、「特定の問題に集中的に取り組んでいる、または小規模ながら部門間にまたがる変革を模索している都市はたくさんあります。このような都市には、スマートシティソリューションプロバイダーにとって、多くの参入機会があります。他の都市での類似した経験を活かし、別の都市における固有のユースケースに応用できるからです」と述べている。
データ駆動型公共安全、インテリジェント交通制御、回復力のあるエネルギーとインフラの分野が、2019年では大きな投資を呼び込むことになるとIDCでは予測しているが、経済発展と市民参画、持続可能な計画と管理という分野の主要ユースケースも、多くの投資が見込まれる。
2019年に最も投資を行うと予測するスマートシティのユースケースには、固定監視画像データ解析、高度化した公共交通誘導、スマート街灯、インテリジェント交通管制、コネクテッドバックオフィスがある。この5つのユースケースを合わせると、今年の世界支出の34%を占めることになる。インテリジェント交通管制は、ソリューションに対する投資の力強い伸びにより、2020年にはスマート街灯を抜いて、3番目に大きいユースケースになるとしている。
2017年~2022年の予測期間において、支出が最も急速に伸びるのは、警察官装備であり、スマートアパレル、スマートヘッドセット/眼鏡、スマートホルスターが含まれる。その他、支出の大幅な伸びが見込まれるユースケースには、デジタルツインおよび車両コネクティビティとしてのV2X(Vehicle-to-Everything)がある。
地域別に見ると、アジア/太平洋地域がスマートシティ・イニシアティブ全体の支出の40%以上を占める。一方、南北アメリカは世界全体のビジネス機会の3分の1前後、欧州、中東、およびアフリカは4分の1前後だ。米国では、今年、スマートシティ計画に3億ドル以上を投じると予測される都市は4つ(ニューヨークシティ、ロサンゼルス、ワシントンD.C.、シカゴ)のみで、中国では11の都市で2019年の投資レベルが3億ドルを超える見込みだ。
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