先日、立教女学院小学校において、STEAM教育の一環として「微生物発電技術」を活用したライティングイベントが実施された。
プロジェクト名は、「TiLA / EARTH LIGHT PROJECT」。「TiLA」とは、琉球の言葉で「光」や「太陽」を意味している。
立教女学院小学校は、校外学習として茨城県常陸太田市金砂地区に訪問し、田植えや稲刈りなどの実習を行う「スタディツアー」を毎年行っているという。

微生物発電には、この田んぼの土を使っている。スタディツアーの際に土を持ち帰り、ガラスポットに入れ、電極を設置し、毎日電圧を測りながら当日を迎えたということだ。
今回のライティングイベントでは、その電極にLEDライトをつけ、土中の微生物によって発電ができたらライトが点灯するという仕組み。
微生物発電の仕組み
土の中にいる微生物は、エネルギーを作るため、土の中で有機物を分解して呼吸している。空気のない土中で微生物は排出物とマイナスの電気、そして水素イオンを放出する。
微生物が放出したマイナスの電気を受けて、ガラスポットの底はマイナス極となる。
そして、水素イオン(H+)は、土中を移動して土の表面のプラス極にたどり着く。たどり着いた水素イオンは空気中の酸素(O2)と合わさることで、水(H2O)ができ、この時に電気が発生する(酸化還元反応する)のだ。
こうして発電することができるようになる。
本来、微生物による発電はとても小さいものなので、デバイスを動作させるため電圧を上げる必要がある。ちなみに、この昇圧を制御する素子は、旭化成エレクトロニクスが開発し、sensingnetと共同で本プロジェクトに応用されている。
sensingnetのこれまでの実験では、この電気を使ってLPWAの通信を行うことまでを実現しており、電気のない農地や山間部でのデータ収集などにも応用する計画があるということだ。
点灯式と子供たちの笑顔
話をイベントに戻す。
合図とともに、子供たちが自分のガラスポットに近づき、電極にライトをつけると、ほどなくして点灯した。
光は、微生物が発光させるだけあって、アナログ電球の点滅に近い、柔らかい発光だった。
すべてのポットが同期して発光するわけではないこともあって、環境光を消すと、動画のようにピカピカと綺麗に光った。
毎日世話をしていた土から電気が生まれるのを見て、子供たちも歓喜していた。
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IoTNEWS代表
1973年生まれ。株式会社アールジーン代表取締役。
フジテレビ Live News α コメンテーター。J-WAVE TOKYO MORNING RADIO 記事解説。など。
大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アクセンチュアなどのグローバルコンサルティングファームより現職。
著書に、「2時間でわかる図解IoTビジネス入門(あさ出版)」「顧客ともっとつながる(日経BP)」、YouTubeチャンネルに「小泉耕二の未来大学」がある。