金融、政治、環境といったさまざまな要素が複雑に絡み合う社会で、急速に進展するデジタル技術による価値を生かすためには、先端デジタル技術と人文社会科学を融合させた革新的な社会モデルの創出をデザインすることが重要だと考えられている。また、グローバル化における日本、とりわけ日本企業、日本社会のあり方という命題に取り組むことは、産業界、学術界で喫緊の課題である。
そこで、日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)と国立大学法人東京大学は、先端デジタル技術と人文社会科学の融合をテーマとした社会モデルを、日本企業と共にデザインする新たな研究プログラム「コグニティブ・デザイン・エクセレンス(以下、CDE)」を設立した。
IBMが持つAI、ブロックチェーン、IoT、量子コンピューターなどの先端デジタル技術と、東京大学が持つ人文社会科学系や先端科学系の卓越した知見を融合し、日本企業の強みを生かしながら持続的成長を実現する社会モデルの創出を、産学連携で推進する。
具体的には、人文社会科学やデジタル・デザインの専門家による課題提起を受けたうえで、参画企業によるディスカッションを行い、新たな視点や洞察力を得ながら社会や企業の未来に向けた社会モデルを提起する。現在検討しているテーマは、農業、エネルギー、格差、災害、教養、交通インフラ、ポストイベント、多様性などで、CDEに参画した企業は以下の通り。
- 株式会社IHI
- 味の素株式会社
- アルパイン株式会社
- 株式会社NTTドコモ
- オリンパス株式会社
- 鹿島建設株式会社
- キリンホールディングス株式会社
- 第一生命保険株式会社
- 帝人株式会社
- 株式会社デンソー
- 東京電力ホールディングス株式会社
- 日産自動車株式会社
- 日揮株式会社
- パナソニック株式会社
- マツダ株式会社
- 株式会社三井住友銀行
- 株式会社明治安田総合研究所
- ヤマトホールディングス株式会社
今後は、社会モデルのデザイン・構築の教育機能として、AI研究やデータサイエンティスト育成をはじめ、先端デジタル技術の社会応用を学ぶ機会の提供を検討する。また、社会・産業プラットフォームを創出することを目的に、アイデア出しを支援、ワークショップを開催し、最先端テクノロジーの情報を提供していく予定だ。
さらに、人材交流、人材育成を目的とした学生、スタートアップ企業、インターンの共有の場として、東京大学本郷地区に新しく産学協創スペースを設けて研究・討議を行うとした。
なお、CDEは、東京大学と日本IBMとの委託研究契約により、2019年7月から2022年3月まで実施する。プログラムリードは、東京大学 大学院情報学環 須藤修教授である。
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