近年、ビッグデータ活用の本格化を背景に、事業者のデータ相互利活用や自治体の公的統計情報の活用推進に対する期待が高まっており、和歌山県でも「和歌山県データ利活用推進プラン」を策定し、データ利活用を推進している。
一方で、異なる事業者間のデータ利活用では、従来は、暗号化データの分析であっても、プロセスの途中で平文に復号する必要があり、セキュリティリスクの観点から、取り組みが進んでいないのが現状だ。加えて、高度なデータ分析についての技術・能力を持ったデータ利活用のための人材育成も喫緊の課題となっている。
このほど、和歌山県とNTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)は、秘密計算を用いた「データサイエンス分野における連携に関する協定」を本日締結した。秘密計算とは、異なる事業者(自治体や企業、研究機関など)が保有するデータを秘匿化したまま相互に統合・分析を行い、結果のみを出力することが可能な技術だ。
NTT Comのクラウドサービスやネットワークサービスに加え、日本電信電話株式会社(以下、NTT)が開発を進めてきたこの秘密計算を活用しこ課題解決に取り組む。
同協定による連携事項は以下の通り。
- 秘密計算技術の社会実装に向けた実証研究に関すること
- 秘密計算技術を用いた民間企業データと行政情報等を融合した分析・研究に関すること
- 民間企業のデータ利活用に関する取り組みへの参加促進に関すること
- 高度なデータ利活用ができる地域の人材育成に関すること
- その他同協定の目的を達成するために必要な事項
同協定に基づき、異なる事業者間のデータ利活用により、産業の活性化や社会的課題の解決および、データ利活用のための人材育成に関する実証実験を2019年度内に実施する。同実験では、和歌山県のデータ利活用推進センター、実証実験協力事業者および大学に秘密計算専用端末を設置し、NTT Comのクラウドサービスを通じて分析用データを提供する。秘密計算を用いたデータの流通・分析における実証環境を整備する。
和歌山県は、同協定および同実験をもとに、地域における多様な事業者がデータを持ち寄って安全に利活用できる環境を拡大する。加えて、「和歌山県データ利活用推進プラン」に基づいて、産学官データの融合によるサービス改善や業務効率化を進め、県内産業の活性化に役立てるとした。
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