社会インフラテックが、東京ビックサイトにて、2019年12月4日〜6日の間で開催された。
橋梁やトンネルなどのインフラ設備は、一般的に50年が耐用年数と言われている。
日本においては、1960年から1970年代にかけて、社会インフラが集中的に整備されているため、50年後となる現在において、耐用年数を超過するインフラ設備が急増している。
国土交通省の情報によれば、今後20年のうちに、耐用年数を超えるインフラ設備の割合は加速度的に高くなる見込みであるという。
[参考] 国土交通省 – 社会資本の老朽化の現状と将来長期的に社会インフラを活用するためには、適切な維持管理が必要となるが、人手不足や財源不足といった問題がある。
これらの課題を解決するために、社会インフラの維持管理において、様々な技術が活用されている。
コニカミノルタ / SenrigaN 橋梁内部鋼材の破断検査
コニカミノルタは、Business Innovation Center(BIC)を設立し、イノベーションを起こすべく様々なアイディアをビジネスに展開している。
SenrigaNは、BICの取り組みの一つで、構造物内部の鋼材破断を検査する非破壊検査装置である。
橋梁などの構造物においては、コンクリート内部に鋼材を利用して建設されている。このような、内部鋼材の劣化を放置すると構造物の破損や、ひどい場合崩壊の原因となる。ただし、構造物内部のため、外観検査では難しく、非破壊検査装置と呼ばれるもので検査を行なっている。
SenrigaNは、漏洩磁束法を用いている。詳細は割愛するが、橋梁内部に利用される鋼材は主に強磁性体の性質を持っており、外部から一定以上の磁場をかけると、強磁性体の性質により、鋼材内部に、ある方向に対する磁場が生じる。ここで、鋼材に破断がある場合は、破断箇所で磁場が漏れ出すため、鋼材内部の磁場が弱まる。このような性質から、鋼材内部の磁場を観測(もしくは漏洩した磁束密度を測定する)することで、破断箇所の推定を行う。
特徴は、複雑な操作は必要としないといった利便性と、リアルタイムに測定結果の確認が可能な点だ。また、従来の測定と比較して、構造物深くの鋼材も検査できるようになっている。
測定時は、磁石を配置し、上記の検査装置を路面上でスライドさせるだけで測定が可能だ。
測定後は、測定したデータをデータ解析用のクラウドに送信すると、リアルタイムに測定結果が帰ってくる。これにより、測定現場で破断状況の確認が可能だ。
また、データ解析に際して、構造物内部のスターラップ(あばら筋)がノイズとなる場合があるが、独自のアルゴリズムにより、測定結果に与える影響を軽減している。
今後は、AIを活用して破断箇所の推定や、劣化予測を目指すとのことで、解体予定の橋梁で教師データの収集などを行なっているという。
NEXCO中日本 / 次世代技術を活用した高速道路保全マネジメント
NEXCO中日本では、i-MOVEMENTと称して、最先端のICT技術やロボティクス技術の導入による、高速道路モビリティの進化を目指した取り組みを行っている。
会場では、本取り組みによる研究成果がいくつか展示されていた。
高速道路上で取得できるデータを一元化し、事故発生時の対応迅速化や、渋滞情報の精度向上ならびに防災対策室へのより正確な情報提供を実現するという。
具体的には、これまではCCTV(監視カメラ)や一般車両(ETC2.0)ならびにSNSなどの情報を個別に管理しており、道路管理センターの担当者によって、各データを統合し対応を判断していた。
これらの情報を一元管理することで、より効率的な情報収拾を目指し、また、将来的にはこれらのビックデータに対してAI技術を用いることで、担当者の負荷を減らしつつ、より迅速に高精度な提供を実現するという。
例えば、渋滞情報において、これまでは、車両検知器による走行速度をもとに渋滞情報を提供していた。これに対して、ETC2.0の登場により、ITSスポット間での加速度や速度情報も取得できるようになり、加えてこれらのデータに対してAIを用いることで、従来では不可能であった情報密度の高い交通分析が可能になってきているという。
上記は、画像処理の技術で、高速移動中の撮影であってもブレのない画像の取得が可能になった。
展示では、幅0.2mmのクラックに対して、時速100kmで走行している車両から撮影した画像と、静止状態で取得した画像が比較されており、同精度の撮影に成功とのことである。
これまではトンネル内の点検作業は、交通規制を行った上で、高所作業車などを用いて近接目視や打音、触診が主であった。
今回の高速画像処理技術により、交通規制を行うことなく、事前のトンネル調査が可能であり、また、精度の高い情報を持って作業を行うため、点検作業の信頼性向上につながるという。
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