世界の人口の半数以上が都市部に居住しており、その数は増加し続けている。都市生活には多くのメリットがあるが、社会、経済、安全、環境の観点から見ると、人々の集中により、都市や施設の管理者にとって持続可能性に関する多くの問題が生まれる。
SFのように聞こえるかもしれないが、「スマートシティ」を実現するIoTシステムは現在多くの都市部で増大している問題を解消することから、その導入が世界で進んでいる。
例として、空車スペースをカウントし表示する駐車場、満杯になり空にする必要が生じるとアラートを出すゴミ箱、人々の接近を感知して自動的に調光する照明、交通量に応じて調節可能な交通信号など、さまざまなソリューションが挙げられる。
こうしたソリューションは都市に暮らす人、働く人、訪れる人のほか、施設を維持するスタッフや公共安全に携わる人々のために、効率や利便性の向上を実現する。
カギとなるのはコネクテッド・センサ
スマートシティは、相互に無線接続された組み込みセンサと、WiFi、セルラー、低消費電力広域通信(LoRaWAN)などの接続を使用するバックエンド・プラットフォームに大きく依存する。
5Gセルラー・ネットワークは主に大都市圏を皮切りに世界で使用が開始されている。LoRaWANは現在、一般市民の間では知名度が低いものの、スマートシティの実現で大きな役割を担う可能性を秘めている。実際にLoRaWANネットワークは、日々1,000を超えるホットスポットを追加しているHeliumなどのネットワークとともに世界で急速に拡大している。
LoRaWAN技術は長距離接続性能を有しており、個々のセンサが独自のセルラー接続を持つ場合に比べ、センサとホットスポットとのネットワーキングを低コストで可能にすることから、極めて多くのセンサの接続を必要とする都市で優れた選択肢となる。また、5Gは低レイテンシで大量のコネクティビティを実現できる。
都市に導入されるセンサの増加に伴い、情報をリモート送信できるセンサが不可欠になっている。「スマート」なセンサを1個ずつ直接確認する従業員を確保することは極めて非効率的だが、送信データをバックオフィスのプラットフォームで確認できれば時間の大幅な節約になる。
センサとデータ収集量の増加に伴い、プライバシーやセキュリティの懸念が増大しており、これについても真摯に受け止めなければならない。スマートシティ技術を導入する都市は、都市住民の安全保護と懸念事項解消のために、データの使用方法、アクセス権限、保存期間などについて、明確に定義されたガイドラインやプロセスを事前に準備しておく必要がある。
スマートシティ技術のユースケース
交通とモビリティはスマートシティにとって、進化中かつ将来的に多くの可能性を持つ分野だ。
電気自動車(EV)充電ステーションは、インフラの構築が進んでいるスマートシティ技術の優れた一例である。現在、EV充電ステーションは不足しているが、電気自動車の人気が高まり続けている中で、都市では将来、さらに多くの充電ステーションの設置が必要になる。また、投資収益率(ROI)を最大化するために各チャージャがダウンタイムなく常時使用されるよう、予約システムの開発も望まれる。
デジタル・チケットやIDカードなどのシンプルなソリューションでも、効率向上の機会を創出する。バスや電車のチケットがスマートフォンにあればチケット紛失の心配はなくなり、交通機関もチケットの印刷が不要になりゴミも減少する。自転車や電動スクーターのレンタルも道路を走るクルマを減少させることから、歩行者とドライバーの双方にとって都市がより安全になる。
持続可能性はエネルギーと環境の両観点から、スマートシティにとって注目すべきテーマである。
大気環境監視などの自動テストはますます普及が進んでいる。都市の主要な場所へ大気環境センサを設置することにより、例えば居住者は花粉、山火事の煙、スモッグなどの理由からマスクを着用する、あるいは屋外滞在時間を制限する、などの予防策を講じるべきか、情報に基づく判断ができるようになる。
英国のロンドンは、スマートシティへの道を歩んでいる大都市の優れた例の1つだ。実際に、ロンドン市長はロンドンを「世界で最もスマートな都市」にする目的で、「Smarter London Together」と呼ぶキャンペーンを立ち上げた。ロンドン市はこうした技術の導入を推進する最高デジタル責任者(CDO)を雇用したほか、市の目標のステータスについてリアルタイムのアップデートを市民が確認できる公共プロジェクト管理委員会も設けている。
今日のスマートシティを実現
Digi-Key ElectronicsはSupplyframe、TE、Microchipとのパートナーシップにより、3部構成の「City Digital」ビデオシリーズを発表した。このシリーズでは世界で最も先進的な都市をいくつか取り上げ、最新技術とイノベーションによって現代の都市で実現する人々の新たな仕事、通勤、生活のカタチを紹介している。
さらに、Digi-Keyはこうした革新的なスマートシティ・ソリューションを可能にするサプライヤを積極的に探している。Digi-Keyは最先端技術を製品ポートフォリオに追加し続けることにより、世界の数十億の人々の生活の質向上を可能にする、さらに高度化するソリューションの開発をサポートしたいと考えている。
Digi-Keyウェブサイト
米国本社: https://www.digikey.com
日本: https://www.digikey.jp
執筆者:Robbie Paul(Digi-Key Electronics IoTビジネス・デベロップメント担当ディレクタ) Digi-Keyは電子部品の世界最大のフルサービス・ディストリビュータであり、1,200社強のクオリティブランドメーカーの1,010万点を超える製品を提供しており、即時出荷が可能な在庫は190万点強にのぼる。
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