東京ガス株式会社は、昨日、豊洲埠頭地区におけるスマートエネルギーネットワーク(※1)の中核となる、「東京ガス豊洲スマートエネルギーセンター」を竣工した。今後、豊洲市場を含む区域4~7に、熱と電気を効率的に供給するという。
豊洲埠頭地区は、江東区によって策定された「豊洲グリーン・エコアイランド構想」等に基づき、まちづくりが進んでいる地区だ。また、東京ガス用地開発株式会社は豊洲埠頭地区内における自社所有地を核として、長期的な視点で未来志向のまちづくりに取り組み、地区の魅力や価値向上に資する開発を進めている。
同センターでは、大型で高効率のガスエンジンコージェネレーションシステムの導入により発電した電力を豊洲市場へ供給し、廃熱を同区域の熱供給に有効活用するとともに、同社施設では初となるガス圧力差発電を導入。
また、BCP対応として、ガスエンジンコージェネレーションシステムにブラックアウトスタート仕様を採用、電力の自営線(※2)の敷設および、災害に強い中圧ガス導管を活用することにより、系統電力が停電しても熱と電気を継続的に供給する。さらには、情報通信技術(以下「ICT」)を活用し、スマートエネルギーネットワーク・エネルギーマネージメントシステム(以下「SENEMS」)を導入することにより、リアルタイムでの熱源機最適制御や、エネルギーの見える化を可能にする。
これらにより、CO2排出量の約40%削減(※3)を目指すとともに、地域の防災性の向上を図る。
将来的には、同区域以外のまちづくりの進展に合わせて新たなスマートエネルギーセンターを設置し、同センターと連携することが計画されている。
東京ガス豊洲スマートエネルギーセンターの特長
大型高効率ガスエンジンコージェネレーションシステムの採用
世界最高水準の高効率ガスエンジンコージェネレーションシステムを採用し、発電した電力は豊洲市場へ供給、廃熱を本区域の熱供給に有効活用する。
ガス圧力差発電システムの採用
豊洲埠頭地区は中圧ガス導管の中でも供給圧力が高めの中圧Aと、低めの中圧Bが同じ地区にあるため、中圧Aから中圧Bへ減圧する際の都市ガスの流れで、タービンを回転させ発電するシステムを採用、発電と同時に発生した冷熱は、本区域の熱供給に有効活用する。
ガスエンジンコージェネレーションシステムにブラックアウトスタート仕様を採用
ガスエンジンコージェネレーションシステムに、停電の状態で発電機を自立起動させるブラックアウトスタート仕様を採用、電力の自営線の敷設および、災害に強い中圧ガス導管を活用することにより、系統電力が停電しても、熱と電気の供給継続を可能とし、地域の防災性の向上を実現。
SENEMSによるリアルタイムでの熱源機最適制御
熱需要情報や、気象状況、曜日特性といった膨大な外部情報等を瞬時に収集・分析し、人には難しい最適なコントロールをリアルタイムで実施することにより、地域全体のエネルギー需給を一括管理・制御するシステム「SENEMS」を導入。これにより、同センター内の冷凍機の稼働台数や冷水送水用ポンプの動力などを最適に制御し、同区域の省エネ・省CO2を実現する。
※1: ガスコージェネレーションシステムと再生可能エネルギーや未利用エネルギーを組み合わせ、これをICTにより最適に制御し、地域に効率よく熱や電気を供給することにより、省エネルギーとCO2削減を実現するシステム。なお、豊洲埠頭地区におけるスマートエネルギーネットワークの構築は、その先進性が認められ、国土交通省の補助事業「住宅・建築物省CO2先導事業」、「災害時業務継続地区整備緊急促進事業(施設整備事業支援)」、環境省の「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(先導的「低炭素・循環・自然共生」地域創出事業のうちグリーンプランパートナーシップ事業)」に採択されました。今後、豊洲埠頭地区におけるスマートエネルギーネットワークについて、「豊洲エネポーリアム」という名称を用い、情報発信していく。
※2: 事業者が独自に敷設する電線。系統電力が停電しても需要家の判断にて使用が可能となる。
※3: エネルギー供給は同様の熱源構成である集中プラント方式を採用し、ガスコージェネレーションシステムや未利用エネルギー等は利用しない場合のCO2排出量との比較。CO2排出係数はガスコージェネレーションシステムにより削減される系統電力の係数として0.69kg-CO2/kWhを使用する。
【関連リンク】
・東京ガス(TOKYO GAS)
・東京ガス用地開発(Tokyo Gas Site Development)
無料メルマガ会員に登録しませんか?
IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。