OKIは、複数のカメラ画像とレーザー距離センサーを組み合わせたセンサー融合技術により、監視エリア内の人・車両・設備の動きを可視化する「モーションマッピング技術」を開発したと発表した。
「モーションマッピング技術」は、各センサーを融合することにより環境変化に影響されることなく、監視エリア内における現場状況を認識し、現場での安心・安全・生産性の向上をサポートすることが可能となる技術だという。
OKIは今回開発された技術を用いて、飛島建設株式会社と共同で「現場監視サポートシステム」の開発・実証実験を行い、2018年度の商品化を目指す。
建設現場や工場内などの現場作業では、狭いエリア内で人・車両・設備などが稼働している状況での作業が多く、接触事故の危険性をはらんでいる。従来、このような現場では、監視員の目視によって災害防止に向けた監視が行われてきた。
しかし、人間の目視では暗さによる視界不良や車両・設備の死角などにより制約が生じるため、作業員の安全確保にとって十分であるとはいえなかった。また、各工程における人・車両・設備の稼働時間や位置関係がリアルタイムに把握できず、現場運用が効率的に行えない状況も生じていた。
OKIは、このような課題に着目し、同社の映像監視・画像処理技術を活かし、カメラ画像とレーザー距離センサーの組み合わせによるセンシング技術により、目視が困難な状況でも人・車両・設備の動きを可視化する「モーションマッピング技術」を開発した。
「モーションマッピング技術」は、同社の映像IoTシステム「AISION」の画像センシングモジュールを活用して、複数のカメラ画像とレーザー距離センサーから人・車両・設備を検出し、それらを組み合わせて、位置・動線を俯瞰マップ上で統合して表示する。
これにより、人・車両・設備それぞれにセンサーを取り付けることなく可視化するため、監視員の目視に加え、作業現場の安心・安全、生産性向上をサポートする。
OKIは、飛島建設と共同で建設現場での実証実験を行い、現場の「安全性向上」とともに「生産性向上」についても合わせて検証する。この実証実験の検証結果を踏まえ、「現場監視サポートシステム」として商品化し、建設現場をはじめ、大規模生産設備のある工場など、業種業界に拘らず展開していく意向だ。
「モーションマッピング技術」の特長は以下の通り。
- 画像センサーとレーザー距離センサーを組み合わせ、暗い場所でも高精度な認識が可能
- 監視対象エリア内の目印を各種センサーで指定するだけで位置あわせが可能
- 監視エリア内の死角を補い、現場全体における人・車両・設備の位置把握が容易
【関連リンク】
・沖電気(OKI)
・映像IoTシステム「AISION」
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技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。