中部電力株式会社と株式会社デンソーは、HEMS(Home Energy Management System)を活用してエコキュートや全館空調を自動制御することにより、地域の電力の需要と供給のバランスに応じて家庭の電力需要を調整するエネルギーマネジメントシステムを共同開発した。
同システムは、中部電力の需要調整システムとデンソーのHEMS制御用システムを連係することにより、夏場の電力使用量が多い時間帯など中部電力が電力需要を抑えたい場合に、顧客の利便性や快適性を損なわず、各家庭の電力需要の自動制御を可能とするものだ。
具体的には、中部電力から電力需要調整の依頼がデンソーのHEMS制御用システムに入り、各家庭に設置されたHEMSからの指令によりエコキュートや全館空調を自動で制御し、家庭の電力需要を調整する。
また、同システムの開発にあわせて、電力需要の調整による湯沸かしの停止によって湯切れすることがないよう、残湯量や日々の使用状況に応じて、電力需要調整の時間を外しながら、湯沸かし時間を変更する制御を共同開発し、導入した新型エコキュートを、本年11月28日よりデンソーが販売を開始する。
中部電力は、これまで家庭の電力需要を調整する取り組みとして、需要抑制を促す実証試験や電力使用量が多い時間帯に外出を促すサービスを実施しているが、同システムのように、家庭に設置されている機器を自動で制御する取組みは初めてとなる。
同システム開発は、両社が豊田市で検討している地域の電力需給を調整するバーチャルパワープラントの取り組みの一つであり、2018年1月からは、豊田市を含む周辺6市において、同システムが生活に与える影響や電力需要の調整実績等を検証する実証試験が開始される。
実証試験の概要は以下の通りだ。
- 実証期間:2018年1月1日~2020年3月31日
- 実証モニター
- 豊田市、岡崎市、安城市、知立市、みよし市、刈谷市に在住し同システムを設置する家庭40軒
- 1の比較対象として手動により機器操作を依頼する上記の6市に在住の家庭40軒
- 実証モニターへの謝礼:電力需要の調整実績に応じたカテエネポイントの付与
【関連リンク】
・デンソー(DENSO)
・中部電力(CHUBU Electric Power)
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技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。