AWSは、11月30日(米国時間)、スマートスピーカー「Amazon Echo」の搭載エンジンAlexaを企業などの職場向けに提供する、「Alexa for Business」を発表した。
「Alexa for Business」は、電話会議の準備、会議室の予約、スケジュール管理など、オフィス業務に必要なさまざまなタスクを効率化することができる。また、Salesforce、Concur、Salesforceなど、オフィスで広く活用されているアプリケーションやデバイスにAlexaを拡張して使用できる。
なお、「Alexa for Business」では、顧客がまずオフィスで簡単に音声通話を始められるよう、Alexaデバイスのセットアップと管理、ユーザーの登録などができる付属ツールが提供される。
今日、ビジネスマンは電話会議への参加、カレンダーの管理、情報の検索などの業務に多くの時間を費やしている。
人が直接顔をあわせなくてよいテレビ会議は、仕事の生産性を上げるとして多くの企業で導入されている。しかしこれにも複数のステップが必要だ。
まず、会議室が利用可能であることを確認し、テレビ会議の機器を起動させ、ダイヤルイン情報を検索し、パスワードを入力する必要がある。
場合によっては、会議を開始するだけで5〜10分の時間を要する。「Alexa for Business」は、このような業務を効率化することができる。
つまり、ビジネスマスマンは、「アレクサ、会議を始めるよ」というような簡単なひとことをかければ、Alexaデバイスがスピーカーフォンまたは既存のテレビ会議機器に自動的にダイヤルすることで、テレビ会議を始めることができるのだ。
「Alexa for Business」のユーザーは、職場の会議室、会議室、ロビーなどの共通のエリアにAlexaデバイスをセットアップし、AWS上の「AWSマネジメントコンソール」から管理することになる。
スケジュールの管理、ToDoリストの確認、顧客への電話などもサポートし、連動できるアプリケーションには、マイクロソフトオフィス365、Microsoft Exchange、およびGoogle G Suiteが含まれる。
Salesforce、Concur、SuccessFactorsなどのプロバイダは、 ServiceNow、 Splunk、Acumatica、タクト、 ポリコム、Crestron、リングセントラル、Teem、Twine、Zoomなどのビジネスアプリケーションを「Alexa for Business」と統合し、ユーザーが簡単な発話であらゆる種類のタスクを行えるスキルを開発しているという。
たとえば、出張・経費精算業務ソリューションのプロバイダであるConcurのスキルでは、出張で吹雪によるフライトの遅延を懸念している場合に、アレクサに、何時のフライトで出発するのがよいか尋ねれば、天候などを考慮した適切な回答を得られるいうスキルがある(現時点ではプレビュー版)。
他には、以下のようなものがある。
- 「Alexa、RingCentralに頼んで、私のボイスメールを読み上げて」
- 「Alexa、Salesforceに、今四半期に終了予定の私のチームの大型案件の現在のステータスを問い合わせて」
- 「Alexa、SuccessFactorsに頼んで、2017年11月28、29日に有給休暇を申請して」
- 「Alexa、Splunkに、南米のエリアでどれだけのAmazon EC2インスタンスが稼働しているかを問い合わせて」
- 「Alexa、Cloudwatchに聞いて、今あるアラートを教えて」
さらに、顧客はAlexa Skills KitとAlexa Business APIを使用し、Alexaで利用可能な数万のパブリックスキルを活用し、従業員向けに新しいプライベートスキルを作成することができる。
自社のAlexaスキルを構築することで、来社した顧客のオフィスへの案内、会議室の予約、消耗品の発注、オフィス機器の異常通知など、業務効率化に活用することができる。
「Alexa for Business」は米国で発売される。Starter Kitには以下のラインナップがある。
- 「Echo」×3台(第2世代)~会議室向け
- 「Echo Dot」×2台(第2世代)~大会議室向け
- 「Echo Show」×2台~デスク向け
【関連リンク】
・「Alexa for Business」
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技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。