三谷産業株式会社の情報システム部門と清水建設株式会社は共同で、両社がデータセンターの建設・運営で培ってきたノウハウを活用し、サーバ室の温度環境をクラウド上のAIでリアルタイムに省エネ制御するサービス「SMT(Smart Management Technology)クラウド」事業を展開すると発表した。
同時に、SMTクラウドの基盤を活用して既存サーバ室の空調性能を評価し、空調機器の省エネを図るベストチューニングや空調方式の変更、SMTクラウド導入のための機器更新を提案するコミッショニング・サービスを開始。初年度は、三谷産業が本社を置く北陸地方を中心に営業展開し、2019年度から全国展開を図るという。
日本国内には、中大規模の事業用データセンターだけでも約600棟、小規模の電算センターまで含めると8万棟以上の関連施設があるという調査結果が報告されている。こうした施設では、サーバを安定稼働させるために室内の温度管理を徹底することが求められる一方、サーバ室の膨大な空調費用の圧縮、つまり空調機器の省エネ制御が施設管理者の大きな課題になっている。
SMTクラウドは、インターネットを介してクラウド上で稼働するAIがリアルタイムにサーバ室の温度環境を省エネ制御するサービスだ。具体的には、サーバ室に設置するIoTセンサ類が温度環境データを収集、AIは当該データを蓄積・学習して空調機器の運転状況とサーバ室各所の温度との関係をモデル化し、最適な温度環境を必要最小限のエネルギーで実現する制御情報を空調機器に送信する。
同時にサーバ室内の温度環境を見える化する。なお、SMTクラウドが利用するネットワークは、施設における既存ネットワークとは独立したネットワークとなる。初期費用を除く利用料は100ラック規模で120万円/年となる。
空調機器の性能によって異なるが、SMTクラウドにより最大25%程度の省エネが期待されるという。新築の場合、施設ごとに空調機器の制御装置を備える必要がなくなるため初期コストを削減できる。また、空調制御機能の大部分をクラウド側に集約するので、サーバ室の運用変更や空調機器更新に伴うシステム調整にも速やかに対応できるという。
さらには、温度環境を見える化したことで、施設管理者による温度計測等の一連の管理業務を削減できると期待される。なお、クラウドを介さず、AIをカスタマイズして当該施設内に直接AI装置を提供することも可能だ。
一方、コミッショニング・サービスはサーバ室の省エネを図るコンサルティング的な業務だ。最初に両社の技術者が当該サーバ室の空調機器の性能を分析。結果を踏まえて、機器のベストチューニングや空調方式の変更、クラウド制御といった省エネ提案を行う。費用は、サービスのベースとなる空調機器の性能分析で80万円程度(100ラック規模)、提案費用は別途となる。
【関連リンク】
・三谷産業(MITANI SANGYO)
・清水建設(SHIMIZU)
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