Amazon Effect 既存の流通はどう対応すべきか
一般財団法人 コミュニティ政策創造基盤機構 理事長 中央大学ビジネススクール 教授中村 博氏からはAmazon Effectによる流通業への影響について講演があった。

最初に、Amazonの売り上げ推移とともに、Amazonにおけるビジネスモデルの説明があった。近年Amazonの成長は目覚ましく、2005年から2018年の推移をみるだけでも大きな成長を遂げていることがわかる。
Amazonにおける大きなビジネスは大きく4つ、その中でも最も利益が高いのはAWSで、プラットフォーム提供がビジネスにおいていかに重要な地位を占めているかが伺える。

また、Amazonはネット通販展開だけでなく、WholeFoodsを2017年に買収し実店舗を獲得することでよりユーザを増やし、買収直後には商品の大幅値下げを実施、業界に大きな影響を与えた。その状況は、当時の株価の変動からも見てとれる。
WholeFoodsは、いわゆるアップスケールのスーパーマーケットで、オーガニック商品や健康志向の商品を取り扱っている。日本で例えるならば、紀ノ国屋のような位置づけだ。さらに、このWohleFoodsでの小売店情報とAmazon上のネット通販情報を分析・活用するだけでなく、メーカーに対してデータ販売を行うビジネスモデルも確立させている。加えて、このスーパーマーケットには、各大手企業がこぞって商品を提供するため手を挙げた。商品提供のため、いわゆる場所代として出品手数料を支払われることでもAmazonは収益を得ているというわけだ。
Amazonへの対応戦略
Amazonの急激な成長の一方で、小売店業界には様々な変化が訪れた。海外、国内をみてもAmazon以上に大きな成長を遂げている小売関連企業は見受けられない。しかし、その他の企業も現状に甘んじているわけではなく、例えばWalmartを例にとっても様々な対応戦略をとっている。ECマーケットプレイスの「ジェット・ドット・コム」の買収に始まり、多くのネット通販事業企業を傘下に収めている。購入した商品を店舗に受け取るPickTower、VRでの購入体験実験なども近年では実施している。

既存の小売業に目を向けてみると、このように分類できると中村氏は説明した。Amazonは徹底して便利さを追求していく一方で、Walmartは安い価値ある製品を追求している。また、国内を例にとれば、良質なプライベートブランドを安く提供する無印良品であったり、おもしろい・楽しいといった顧客経験価値を提供するドン・キホーテなど、何かしらの特徴を出すことで差別化を図ることに成功している。
最後に、ネット通販の成長における深刻な懸念点として、ドライバー不足について説明があった。大手スーパーの西友もネット通販を開始しているが、配送業者手配ができずに売り上げが伸び悩んでいるというものだ。今までも問題として取り上げられていたものの、各企業の通販事業の活性化により今後ドライバー不足はさらに深刻化するだろうと中村氏は締めくくった。
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