ホテル内でバックオフィスの自動化を目指す
株式会社トラスタは、「住亭」「STAY in the City」「STAY Vintage」という3ブランドのホテルを自社で展開している。
トラスタの運営するホテルにおける課題は、省力化と、スキルの低いメンバーでも運営できる体制、そして、備品保管スペースの効率的な利用だった。
「備品の在庫管理をデジタルの力でできないか」と考えたトラスタの代表取締役(COO)越島悠介氏が見つけたソリューションが、重量で備品の在庫状況が可視化でき、自動発注も可能なソリューション、「スマートマット」だった。
課題は備品の適正発注
導入当初、歯ブラシなどの備品についても重量で在庫管理しようとトライしたが、実際には目視で大雑把に確認する方が簡単であるという結論になったという。
一方で、宿泊者視点でこだわった「シャンプー」「リンス」「ボディソープ」については、段ボール箱の状態で納品されるものであった。
そこで、段ボールの中に入っている液体の残量を知ろうとしたのだが、実際は、持ち上げてみるなどの手段でやる必要があったのだという。
しかも、持った感覚での確認では個人差がでてしまう。例えば新人スタッフのトレーニングを行う際に「適切な」残量の管理を教えるのは難しい、という課題も発生していたという。
ある日、シャンプーなどがなくなってしまうよりは多めに在庫を持っておく、という考え方の運営が一般的だが、トラスタでは備品保管庫が狭かったため、これらに関して、無駄な在庫をもちたくないという考えがあった。
スマートマットで発注を適正化

そして、これらの課題を解消すべく導入したのがスマートショッピングが提供するスマートマットだった。
対象となる備品は、シャンプー・リンス・ボディソープの3種類であり、1日1回、各在庫の残量とマット本体の電池残量がメールで通知されるような設定になっているという。そして担当者は通知にある残量をもとに商品の発注を行うことで、バックオフィスにおける適正な在庫量を保っている。
システム概要

このスマートマットには、重量センサーが搭載されており、対象の商品の下に敷くと一定の頻度で残量を計測し、クラウド上にデータを保存する。保存されたデータはウェブ管理画面で確認できるようになり、設定された基準値を越えるとメールでアラートで通知が来る仕組みになっている。

運用してみてわかった課題
もともと、スマートマットには、残量に応じて適切なタイミングで自動発注をする機能がある。しかし、トラスタでは、この機能を利用していないということで、その理由を伺った。
すると、「実際に導入してみると、シャンプーなどの卸業者との契約上3箱ずつ発注しなければならなかったため、例えば、シャンプーだけなくなりかけているからといって自動発注することができない。」のだという。
そこで、現在は、現場マネージャーが日々の残量通知を確認した上で、備品倉庫のスペースも考慮し、3箱発注するタイミングを見計らっている。
発注は人力だが、どの備品がどれだけの残量となっているかわかることは、発注のタイミングを計る上ではとても重要なのだ。
また、在庫管理は定型業務となる場合が多く、現場スタッフが慣れてしまうと業務プロセスの改善対象として意識されにくい。
そこでトラスタは、「改善される余地があるが、検討されていない業務」を見過ごすことが無いよう、ホテル業務に詳しくない自社のエンジニアが現場を視察することで、デジタルの力でも可能な改善点を指摘する取り組みを行っているということだ。
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1986年千葉県生まれ。出版関連会社勤務の後、フリーランスのライターを経て「IoTNEWS」編集部所属。現在、デジタルをビジネスに取り込むことで生まれる価値について研究中。IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。