AGVと略される無人搬送車(Automated Guided Vehicle)の導入が進んでいる。
そんな中、日本通運が物流現場の課題を解決するカゴ台車の搬送支援AGVの導入を発表した。
カゴ台車というのは、キャスター付きのボックスパレットで、台車の機能とパレットの機能を兼ね備えている。量販店や配送センターなどでよく用いられるが、性質上、重心が高くなってしまうという課題があった。重心が高くなってしまうと、移動の際に荷物が転倒するリスクが上がる。
そのリスクを低減するためには、単純にカゴ台車の搬送作業員を増やし、2人がかりで行うといった対策が取られてきたが、労働力不足が深刻化している中、人力作業は機械に任せたいところだ。とはいえ、物流の現場においては、時間帯・曜日・季節によってハンドリングする荷物の量の変動が激しいという制約がある。例えば、歳末セールが行われる時期においては、平時よりも運ばれる荷物の量が著しく変動するのは想像に難くない。
このように波動が大きい物流業界では、荷物の量の変化によって動線が変わってしまうことから、無人搬送機(AGV)の導入は困難であるという見方をされてきた。
しかし、12月13日、日本通運はトピ―工業製の搬送支援AGVである物流現場の使用に耐える「リモート積収クローラー」の導入を決めたと発表した。

このリモート積収クローラーはカゴ台車の下に潜って、自律走行あるいはリモートコントローラーによってカゴ台車を搬送する。実運用においては、どちらかというと、作業環境に対して柔軟な対応ができるリモコン操作を想定しているようだ。
また、リモート積収クローラーは、最大で500kgの重量物まで積載可能のようだ。様々な路面環境に対応する踏破能力も備えており、大容量の荷物を積載したまま、凹凸のある床、段差、傾斜を走行できる。さらに安全面も考慮された設計となっており、経路上に人や障害物があった場合はセンサーで自動で検知し、停止する。
日本通運は、導入を決定するに至るまでの実証実験を繰り返し行なってきたようだ。その結果、ロールボックス搬送作業時の安全確保、労働負荷軽減、機械化による高齢者や女性の職域拡大、人手不足の解消などの成果が確認できた。今年度内、さらに開発試験機を複数導入する見込みとなっている。
なお、定型業務の多い現場では、自動制御による無人化も可能と考えており、今後、さらなる研究に取り組んでいくと発表している。
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現在、デジタルをビジネスに取り込むことで生まれる価値について研究中。特にロジスティクスに興味あり。IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。