三菱ふそうトラック・バス(MFTBC)は12月26日、製造拠点への部品輸送管理をデジタルで最適化するシステム「IBL(Inbound Logistics、インバウンド物流)コントロールタワー(仮称)」を開発したと発表した。実証を行った上で2023年内の本格導入を目指す。
「IBLコントロールタワー」は、MFTBCの製造拠点に入構する、主にトラックの部品運搬車両を対象に運用する。具体的には、部品運搬車両にGPS発信機を装着し、車両の位置情報を毎分取得してデータベースに蓄積する。
その上で、現在と過去の位置情報データや道路交通情報を基に、AI(人工知能)を使って部品運搬車両が製造拠点に到着する時刻を10分以内の誤差範囲内で予測。管理担当者に逐次知らせ、遅延発生時の対応を促す。位置情報データは車両を運用する物流業者にも共有し、車両運行側のリスク対応にも役立てる。
システムは、同社の生産現場の生産性と安全を最先端技術で向上させる「Factory of the Future(未来の工場)」プロジェクトの取り組みの1つ。AIによる車両到着時刻予測アルゴリズムの開発は、MFTBCのオープンイノベーションプロジェクト「FUSO GreenLab」のサポートで、韓国の西江大学校の学生チーム「Insight」との共同で行った。
MFTBCでは、トラック車両や産業用エンジンを製造する川崎製作所(川崎市)で、1日に数百台の部品運搬車両が入構する中、これまで電話やメールで行っていた車両の管理をシステムでデジタル化することで、大幅な業務効率の向上と、部品の遅延に起因する生産調整のリスク抑制につなげる。データの蓄積によって継続的な精度向上も可能という。
システムは、最終実証を12月から開始。先行拠点である川崎製作所向け車両に対して、2023年内の導入完了を目指す。その後、部品を製造するMFTBC中津工場(神奈川県愛甲郡愛川町)と、MFTBCの100%子会社でバスを製造する三菱ふそうバス製造(富山市)など、国内の他拠点での入構車両にも対象を広げる計画。
また、入構車両数の最適化をにらんで、部品運搬車両の積載効率を自動算出する機能を開発しているほか、取得したGPSデータを部品運搬車両のCO2排出量の算出に活用することにも取り組む。
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