物流業界向けに自動化技術などを取り扱う専門展「第2回スマート物流EXPO」(主催・RX Japan)が1月25日~27日まで開催されている。
国内外の企業がロボットやIoT、AI(人工知能)などを活用した製品やソリューションを出展。今回はコロナ禍でありながらも、本格的な対面での商談展示会とあって、出展社の多くが既存製品やサービスをアピール。
AVG(無人搬送車)や倉庫内の自動化を図るロボットなどの展示は多くはなく、ドライバー管理や貿易などのソリューションのブースが目立った。今回はその中で、IoTを使ったソリューションを出展していた京セラコミュニケーションシステム(KCCS)と、WMS(倉庫管理システム)と物流ロボットをつなぐマネジメントソリューションを、前面に押し出していたセイノー情報サービスをレポートする。
京セラコミュニケーションシステムが、ブースの目玉として展示していたのが、「LPWA」(ローパワー・ワイドエリア)のSigfoxを使った荷物の出荷・発送・開封・位置情報をトラッキングできるソリューション「SeeGALE(シーゲル)」だ。
ソリューションでは、Sigfoxの通信モジュールが入った薄型フィルムを用意。このフィルムを荷物ひとつひとつに付けることで、モジュールから定期通信でデータが送られる。データはシステムの管理ソフトで閲覧が可能でき、拠点別の在庫数や在庫数、開封数の推移、在庫情報などがすぐにわかる。フィルムは使いまわすことが可能という。
KCCSでは「LPWAは通信コストが安く、RFIDのような読み取り装置が不要のため、導入コストを抑えて運用ができるのが特長」(ブース担当者)と話す。トラックによる配送では車が高速で移動するため通信の安定性が保たれない懸念があるが「基地局が全国95%をカバーしており、速度にも対応できるので問題はない」(同)と説明する。同社では医療機器を始めとするメーカーなどに売り込みたいとしている。
一方、セイノー情報サービスが、訴求していたのがWMS「SLIMS」とロボットマネジメントシステム「RMS」を組み合わせたソリューション。
「RMS」は、WMSとロボットの中間に位置し、ロボットの監視・状態管理や作業指示を連携するアプリケーション。マップ管理、ロボット管理、作業計画、作業指示、作業管理、状況照会、実績照会、外部連携が可能。同社が取り扱うプラスオートメーションやグレイオレンジなど、多くの物流ロボットに対応する。
「倉庫の自動化でロボットを導入しているメーカーや物流事業者などの中には、入荷と出荷で別々のメーカーの機種を使っているところも少なくない。そして、その場合、WMSでは対応できず運用に課題を抱えているところが多い。それを解消するソリューション。親会社の物流会社が培った持つノウハウが機能に生かされている」(ブース担当者)という。
幅広い物流業務を管理するWMSは、ECの対応などで複雑化しており、現状ではWMSをカスタマイズして最新の自動化設備を導入するのが一般的でコストと手間がかっている。この課題の解決で、自動化設備との連携機能やデータ管理を、WMSから独立させて別で処理する方法が注目されている。「RMS」は、その機能を担うシステムとしている。
同社では、少子高齢化などを背景に人手不足などで物流ロボットを導入した倉庫の自動化が加速。同時にひとつの倉庫や複数の拠点でメーカーや機種が異なるロボットを導入するケースが増え、WMSはもちろん、RMSのような自動化設備とロボットを簡単につなげる仕組みのニーズが高まるとみており、新規、既存を問わず自動化設備を導入する企業への販売に力を入れていく。「ターゲットは売り上げが100億円以上の製造業」(同)としている。
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