大阪市は1月30日、ローカル5Gを活用した港湾業務の効率化・周辺道路の混雑緩和に向けた実証実験を、大阪・関西万博予定地の夢洲で、1月30日から3月24日まで実施すると発表した。
実証実験は、西日本電信電話(NTT西日本)、夢洲コンテナターミナル、三菱ロジスネクスト、阪神国際港湾、京セラコミュニケーションシステム(KCCS)、NTTビジネスソリューションズと形成したコンソーシアムの取り組みとして行う。
大阪市では港湾事業で、大型コンテナ船の寄港増加による荷役時間の長期化やコンテナターミナルのゲート前混雑の深刻化、高齢化、担い手不足への対応が求められているとしている。
そこで同市では、このような課題に対応するため、夢洲コンテナターミナル内にローカル5G環境を構築。コンテナターミナル内業務ネットワークの高品質化、コンテナプランニングデータ(港湾事業者があらかじめ策定する作業計画)のリアルタイム伝送による保管工程業務の効率化、トレーラー待機場の混雑状況の可視化を実現し、実環境下での港湾・コンテナターミナルのDX(デジタルトランスフォーメーション)化による効果を実証する。
また、コンテナターミナルという環境下で、伝搬路におけるコンテナなどの遮蔽物や海面の割合などに着目した電波伝搬モデルの精緻化を行う。実証は、夢洲コンテナターミナルとトレーラー待機場で実施する。
具体的には、「ローカル5Gを用いた港湾・コンテナターミナルのDX化による効果の実証」で「コンテナターミナル内業務ネットワークの高品質化による業務効率化の実証」「コンテナプランニングデータのリアルタイム伝送による保管工程業務効率化の実証」「トレーラー待機場の混雑状況の可視化による行動変容の実証」を行う。

「コンテナターミナル内業務ネットワークの高品質化による業務効率化の実証」は、夢洲コンテナターミナル内で、システム個々で採用する無線機やWi-Fiなどの通信手段をローカル5Gに一元化し、ネットワークを高品質化することで、港湾業務全体の業務効率化が実現できるかを検証する。

「コンテナプランニングデータのリアルタイム伝送による保管工程業務効率化の実証」は、これまで作業員に配布していた紙の荷揚げ計画指示書をプランニングデータとしてRTG(タイヤ式門型クレーン)に設置したタブレットに送信することで、保管工程業務の効率化ができるかを確かめる。

「トレーラー待機場の混雑状況の可視化による行動変容の実証」では、トレーラー待機場からローカル5Gで車番認証システムに送られてきたトレーラーのナンバープレート画像を基にデータ分析と混雑状況を予測。待ち時間の予測情報をポータルサイトに掲載することで、ドライバーの行動変容を促し、車両来場時間の平準化が実現できるかを検証する。
また、「ローカル5Gの電波伝搬特性等に関する技術的実証」も行う。コンテナターミナル特有の環境要因であるコンテナや海面などの影響を考慮した電波伝搬特性を調査。港湾業務で求められる通信要件を満たしながら、周囲への電波干渉などの影響を最小限に抑えることを目的にした電波伝搬モデルの精緻化について、電波測定などを通じて検証する。
大阪市では、実証で得た知見を基に、ローカル5Gの特長である広範囲・低遅延・大容量無線通信を活用し、コンテナターミナル内の業務ネットワークの高品質化やコンテナプランニングデータのリアルタイム伝送による業務効率化、トレーラー待機場の混雑状況の可視化による周辺道路などの交通渋滞緩和を目指すとしている。
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