Mobile Industrial Robots(モバイル・インダストリアル・ロボット、MiR)は2月7日、同社の最新AMR(自律移動ロボット)「MiR250」を、デンソーがテネシー州の工場に導入したと発表した。
「MiR250」は、毎秒2メートルという速度、重い金属部品を取り扱える250キログラムという可搬重量、狭いスペースを走行できる機能を持つ。今回、デンソーでは、テネシー州のアセンズ市にある約74000平方メートルのパワートレイン生産工場に6台を導入した。
デンソーの調査によると、搬送業務の作業員は1日に最大で約20kmを歩き、生産現場と倉庫の間で材料を移動させており、台車を押す作業に労働時間の約60%を費やしていたことがわかった。
この解決で、デンソーでは技術チームがAGV(無人搬送車)の採用を想定したが、費用面だけでなく柔軟性にも欠けることと、定期的にルートを変更しなくてはならない動的な環境には合わないことが判明。また、狭い通路での操作や重い金属部品搬送などの課題もわかった。そこで、AMRに着目し、性能面からMiRの「MiR250」を採用したという。
同社では、導入にあたり倉庫と生産ライン間の試験プログラムのプロジェクトを計画。「MiR250」にシェルフリフトとカートを標準化することで、同じカートベースを用途に応じてカスタマイズし、他のエリアへも迅速に展開ができるようにした。
また、MiRのパートナーのAdvanced Control Solutions (ACS)社と協力し、APIを使った情報フローを開発。フローでムダのない配送を実現し、充電と近接キューを管理し業務の優先順位を付け、現場の担当者がロボットを呼び出せるようにした。さらに、モジュールを使って、シャッターコントローラに無線信号を送信することで、クリーンルームエリアの入退出ドアを自動開閉できるようにAMRを統合した。
その結果、プロジェクト開始して6か月後には、工場の全ラインをAMRでカバーし、台車の搬送業務に従事していた6人の作業員を付加価値の高い業務への配置転換を可能にした。また、同社が通常見込む、プロジェクトの投資回収期間の2年未満に対し、搬送をAMRへの置換で得た間接的なコスト削減で、投資回収期間1年以下を達成したという。
MiRでは、今回のプロジェクトによって、従業員の意識と人間工学の改善、全体的な効率向上、合理的なプロセスに焦点を当てた自動化という考え方がデンソーの企業文化に変化を与えたとしている。
無料メルマガ会員に登録しませんか?
IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。