NECは3月3日、物流倉庫や工場などでの作業内容やレイアウトの頻繁な変更に対し、柔軟に対応できる「ロボット制御AI(人工知能)」を開発したと発表した。
今回開発したロボット制御AIは、過去に試したことのない作業条件でも失敗の少ない最適な動作を自律生成し、実行ができる。そのため、学習したものと異なるサイズ・形状で、不規則に置かれた物品に対しても、ロボットが的確につかんで所定の位置と向きに正しく置くことができるようになる。世界初の技術という。

「世界モデル」をハンドリングに応用した。「世界モデル」は、ロボットが実世界の構造や常識を理解し、将来を想像しながら行動を決定する、自律制御の技術。AIの機械学習の分野で注目されている。
具体的には、開発した技術で、ロボット制御則の学習に加え、「動作予測モデル」の事前学習を実施。動作予測モデルは、ある作業の実行に必要なロボット動作を入力したときに、その作業の成否を予測できる世界モデルを利用する。
実際にハンドリング作業を行う際には、学習済みの制御則で作業条件の特徴に合わせ生成された複数の動作候補を実行に移す直前に、動作予測モデルを使って動作の成否を予測し、成功率の高い動作候補を算出・実行する。その結果、現場で起こる可能性がある作業条件の網羅的な学習がなくても、現場で活用可能なレベルの安定性と、NECが試算した約95%の作業成功率が達成できることをシミュレーションにより確認したという。
また、事前学習では2つの方法で短期化を実現。1つ目は「動作予測モデル」の導入で、網羅的な学習を不要とした。2つ目は、「動作予測モデル」の学習状況に応じて、次に学習すべき物品の配置や作業などのパターンを設定する能動学習手法を導入し、動作予測モデルとロボット制御則をより少ないパターン数で学習することを可能にした。この取り組みで、事前学習の時間を数日に短縮した。
NECでは今後、物流倉庫や工場などのロボット作業で技術の検証を進め、2024年度中の実用化を目指すという。
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