工場・倉庫のスマート化事業を展開するIndustry Alpha(インダストリーアルファ)は3月14日、梱包資材の販売と物流請負事業を展開する大洋紙業と、物流倉庫の入荷から出荷までの物流ライン自動化の取り組みを開始したと発表した。
今回の取り組みでは、Industry Alphaと大洋紙業が物流倉庫を間借りし、倉庫内の物流ラインの自動化に着手。巨額な資金投資を必要とする立体倉庫やセンターの建築を必要とせず、物流ラインでの最適なマテリアルハンドリング機器の組み合わせを設計することで従来の倉庫で人が担っていた作業をスマート化し、物流ラインの自動化の実現を目指す。
2社によると、従来の倉庫での物流ラインはピッキングと搬送に多くの従業員の労力がかかっており、ピッキングは、倉庫運用コストの約50%を占めるという。また、作業員がリストを見ながら商品を探すことで倉庫内を何度も移動し、ピッキング作業の改善は生産性向上を図る上で非常に重要な課題となっている。
さらに、搬送も人がハンドリフトで荷物を運搬する現場が多く、荷物をハンドリフトから落としてしまいトラブルになるケースもあるという。
こうした背景を受け、Industry Alphaは搬送・ピッキングの課題、大洋紙業では梱包(こんぽう)の課題に取り組み、業務の全体オペレーションが最適になるように解決案を設計した。
Industry Alphaは、まず、ピッキングの際に荷物を載せる棚を車体上部に搭載した、ピッキングと搬送を同時に行えるピッキングアシストAGV(無人搬送車)を開発。作業員がピッキングを行い、AGVに荷物を置くことでAGVが自動的に搬送を完了するようにした。その上で、ピッキングアシストAGVは、入庫エリア横のピッキングエリアに6台を導入し、ピッキングエリアの省人化を可能にした。
また、WMS(倉庫管理システム)のピッキングリストを、経路を考慮した最適な順番で並べ替える、順序最適化モジュールとピッキングアシストAGVを組み合わせることで、複数台のAGVの最適経路を自動で算出するシステムを構築。人が行う作業はAGVが指示した場所に行き、ピッキングと検品作業を行うのみにした。また、梱包ラインは、自動製函機を導入し、段ボールの組み立てと梱包を自動化した。
さらに、自動ラベル貼り付け機を導入し、入庫から出庫まで一連の流れの中で、人が行う作業を積み下ろし、ピッキング、積み込みのみで完結するスマート倉庫に作り替えた。
Industry Alphaでは今回、大規模な立体倉庫を導入せずに、既存倉庫のスマート化で省人化・物流ラインの自動化したとしており、スマート化によって庫内業務のデータ蓄積が可能になったことで、出荷頻度や出庫頻度のデータ分析から入庫、入荷の最適化を実現するという。
また、ロボットアームとAMRを組み合わせることで、今回の取り組みで人が行っている、積み下ろし、ピッキング、積み込みを自動化し、無人倉庫の実現を目指すとしている。
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