インダストリー4.0時代、メーカーに必要な3つのポイント
これまで紹介してきた顧客ニーズの変化に対応するには、次の3つのアクションが必要だ。
- 製造現場のデータがIoTでつながっていること
- 製造現場と製品ライフサイクル全体がプラットフォームで統合されていること
- プラットフォームが顧客とつながっていること
まず、マスカスタマーゼーションに対応するには、顧客が欲しいタイミングで製品がつくれないといけない。その時に、自社の工場の状況がリアルタイムで把握できなければ、対応は難しいだろう。そのため、IoTプラットフォームによって、現場の設備やモノのデータはすべて一元管理できている必要がある。
次に、多様化する顧客ニーズに対応するには、設計・開発プロセスも最適化していかなければならない。
これまでメーカーは、航空宇宙や自動車の産業を中心に、製品の設計・開発・保守・廃棄・リサイクルといった製品のライフサイクルに関わるデータをデジタル基盤で一元管理するPLMを導入することで、製品の納期を短縮してきた。
これからはさらに、PLMに製造現場のデータや顧客データも統合することで、顧客ニーズが変化するスピードに対応していくことが迫られる。
そして、その統合されたプラットフォームは顧客とデジタルでつながり、そのニーズをリアルタイムで把握できる必要がある。
スマートフォンや製造機械のように、製品そのものにセンサーが組み込まれ、リアルタイムにその利用状況がわかることが望ましいが、品目によっては難しい場合がある。
そのような場合には、他社と連携してデータを共有したり、カメラなどを使って間接的に顧客の動線データを入手したり、いかなる方法であっても、顧客データをリアルタイムで収集するしくみが必要だ。
最後に、重要なことはメーカー側も顧客であるということだ。
製品Aをつくるために部品Bが必要な場合。これまでだと既存の商流でBを調達していたかもしれないが、これからは、AmazonのEコマースサイトのように、Webページを通じて、コストを見比べながら早く、簡単に資材調達ができるマーケットプレイスのしくみも普及していくだろう。実際に、ファナックやダッソー、シーメンスなどの企業が既にリリースしている。
また、製品Aをつくるリソースが自社にない場合には、Webページから他社の空き稼働状況を閲覧し、その設備を利用して納期に間に合わせることも可能になる。
マスカスタマイゼーションの時代には、こうした手段が必須となってくる。メーカーはデジタル・プラットフォームの構築を急ぐべきだ。
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技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。