国際物流総合展で、ロジスティクスやFA(Factory Automation)システムを手がけるムラテックの展示は、カメラやセンサーを使った機械等の監視からはじまり、収集したデータを用いたサポート、保守員のサポートといった様々な局面で利用できるものだった。
まず、倉庫といっても通常馴染みが薄いと思うが、今回の展示では下のような倉庫をイメージしてみてほしい。
カメラシステム・センシングシステムを活用した予兆保全とメンテナンス
物流機器に上のカメラを取り付けることで、冷凍環境や高温環境といったヒトが入りづらい倉庫の環境であっても荷物の状態を監視することができる。また、保管中の荷姿についてもカメラで監視することが可能だ。
さらに、センシングシステムでは、設備が稼働中の時に機械の状態を把握することができる。センサ基板と呼ばれる装置を倉庫内の荷物を輸送するための機器に取り付けることで、震度や温度を捉え、データを蓄積してくのだ。蓄積されたデータは分析され、機器に取り付けられたデータがどういう状態になれば問題が発生するのかということを機械学習を利用して学習する。その結果、通常運転をしているシーンで問題が起きそうな状況を見つけ、予兆保全することができるのだ。
これらの情報は、上の写真のような可視化ツールを使って表現される。
なんらかの問題が発生した場合、可視化ツールは、状態を可視化するだけでなく、情報を深堀することも可能だ。
保守・メンテナンス担当者をサポートする
問題が発生すると、保守・メンテナンスの担当者が現場に駆けつけるのだが、その際問題の箇所を特定するためにARの技術を使っている。
これはデモンストレーションなので実際にクレーンがあるわけではないが、カードにクレーンの写真とARマーカーがあるのが、実際にはクレーンにARマーカーが付いている状態をイメージしてほしい。そして、実際はARマーカーは様々な機器に貼られている。管理システムと連携しているタブレットでARマーカーを写すと、どの機器が異常なのかが一目瞭然にわかるのだ。
そして、問題の機器を特定するとタブレットに表示された状況をみて故障を直すこととなる。
このデモの場合クレーンに異常があるというシーンだが、荷物を傷めないように修理をしようと思うとクレーン自体少し動かさないといけない場合がある。そういう場合、これまでであれば機器の操作をそれぞれの機器に対して行わなければならなかったが、今回のデモでは機器の移動操作もタブレットで実現できるのだ。
作業の指示も集中センターから行うことができるので、保守・メンテナンス担当のミスも軽減できる。
このように、センサーで倉庫の状態を様々な角度で監視し、機械学習を用いて学習された人工知能を用いて予兆保全を行う。さらに、障害発生時は保守・メンテナンス担当者に適切な情報をつたえ現場での解決力を上げていくという取り組みがムラテックのIoTロジスティクスということだ。
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IoTNEWS代表
1973年生まれ。株式会社アールジーン代表取締役。
フジテレビ Live News α コメンテーター。J-WAVE TOKYO MORNING RADIO 記事解説。など。
大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アクセンチュアなどのグローバルコンサルティングファームより現職。
著書に、「2時間でわかる図解IoTビジネス入門(あさ出版)」「顧客ともっとつながる(日経BP)」、YouTubeチャンネルに「小泉耕二の未来大学」がある。