株式会社NTTデータとニューソン株式会社は、スマートグラスを活用した「遠隔作業支援システム」を共同で開発し、本日11月17日よりニューソンから販売を開始した。同システムの提供により、インフラ設備管理、ビル管理、機器メンテナンス業界におけるフィールドサービス業務(現場で行う設置・保守・メンテナンス業務)の作業品質・作業効率の向上、教育支援の効率化を実現する。
熟練技術者の退職や少子化による人材不足でノウハウの継承が難しく、高いスキルを持った作業者の減少、サービスの増加に伴う取り扱い機器の多様化などにより、現場業務を持つ多くの企業では、人手不足の解消、技術伝承、作業の効率化が課題となっている。これらの課題を解決する手段として、身につけるコンピューターであるウェアラブルデバイス、中でもハンズフリーでの操作が可能であるスマートグラスが注目されている。
遠隔作業支援システムは、スマートグラスやスマートデバイスを活用して現場作業を支援するシステム。現場作業を単独で実施するために、作業に必要な情報(手順、マニュアル、作業動画)の提示や作業結果のデータを取得する「単独作業支援機能」と、遠隔のベテラン技術者とコミュニケーションを取り作業を実施する「コミュニケーション作業支援機能」を保有している。これらの機能により、現場作業の効率化と高品質化を実現できるとともに、作業者のスキルの早期の向上、作業者の負担軽減が可能となる。
「遠隔作業支援システム」の主な特長は以下の3点。
- 現場作業で求められる多数の機能を搭載
現場でニーズの高い「映像共有機能」にとどまらず、作業手順の確認および進捗状況の記録と共有を可能とする「タスク管理機能」、作業の結果を写真・音声・映像で取得し共有する「証跡取得機能」、作業で必要となるマニュアルをハンズフリーにより閲覧する「マニュアル閲覧機能」など多数の機能を搭載している。また、オフライン機能により、サーバーとの通信が不可能なネットワーク不達地帯でもこれらの機能が利用できる。オフライン状態で取得したデータは一旦スマートグラスに蓄積され、端末がネットワークに接続されたタイミングでサーバーに送信される。 - スマートグラスに最適な操作インターフェース
同システムに搭載する多くの機能を利用するためには、タッチパネル、キーボードを持たないスマートグラスにおいて、スムーズかつ容易に利用可能な操作インターフェースが必要。同システムでは音声認識によるコマンド入力および頭の動きによりポインターを制御する機能を用いてスマートグラスを直観的に操作することが可能。これら複数の操作インターフェースを備えているため、通常は音声によりコマンド入力を行い、高騒音下では頭の動きにより操作するといったことが可能。 - 多数の利用者の声を反映させた機能を搭載
多くの企業で実施した実証実験・試行導入の結果を元に、多くの機能改善・機能追加を行った。
追加した機能の例- 遠隔地から現場作業者端末のカメラを操作する機能(ズーム、シャッター)
- 1対多で映像を共有するための映像転送機能
- 作業結果画像にコメントをつけて返信する機能
今後の2社の役割は下記の通り。
- NTTデータ
遠隔作業支援システムに追加する付加価値機能の開発、既存顧客をベースとした顧客の発掘 - ニューソン
同システムの販売、保守、導入における構築支援および今後の機能追加を実施
今後、両社は現場作業がある保険、旅行、小売り、医療などの業界への提供に向け、機能の追加および最適化を行う。また、導入先企業の他業務システムとの連携や、IoTシステムを構成する他技術(AI、ロボティクス、センサー)との連携を目指すという。具体的にはウェラブルデバイス、各種センサーにより作業データを収集し、ビッグデータ分析を行うことにより、作業の課題要因の検出、作業者からの問い合わせに関して過去のデータをもとにAIが自動で回答することなどの実現を目指していく。
さらに、日本国内の企業に加え、NTTデータの海外グループ会社を通じたグローバル企業への提供も予定している。
【関連リンク】
・NTTデータ(NTT DATA)
・ニューソン(NEWSON)
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