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スマートウォッチは第二フェーズに ー ベルリンで見た、様々な進化

サムスン電子が、「GALAXY Note 3」と同時に腕時計型端末「GALAXY Gear」を発表したのが、2年前のIFA。昨年はASUSが「ZenWatch」を、サムスンが「Gear S」を、ソニーが「SmartWatch 3」を、そしてLGエレクトロニクスが円形の「G Watch R」をそれぞれ公開し、IFAはウェアラブル端末、特にスマートウォッチのお披露目の場にもなっている。Apple Watchが発売された後だけに、今年のIFAもその勢いは衰えることを知らなかった。

もっとも高い注目を集めていたのが、サムスン電子の「Gear S2」。円形のディスプレイを採用し、より外観が腕時計に近づいた。この円形はユーザーインターフェイス(UI)のモチーフにもなっており、ベゼル部分をグルグル回して操作できる。サムスン電子によると、このUIは、タッチでスマートウォッチの小さな画面をふさいでしまわないことを目的としているという。

サムスン電子の「Gear S2」
サムスン電子の「Gear S2」

 

ベゼル部分を回して操作できる
ベゼル部分を回して操作できる

 

単にスマホの通知を受けるだけでなく、Gear S2は様々なアプリケーションを追加可能だ。アクティビティトラッカーとして使ったり、メールやメッセージを送受信したり、ナビで目的地に誘導してもらったりと、各種用途に活用できる。OSにはサムスン電子主導で開発したTizenが採用されており、スマホ経由で、アプリの追加も可能だ。フォルクスワーゲン、BWMとも連携して、車のロックを外したり、エアコンを調整したりといった、スマートカーのコントローラ的な使い方もできる。

様々な種類のアプリを内蔵する
様々な種類のアプリを内蔵する

 

音楽プレイヤーのような基本機能も完備
音楽プレイヤーのような基本機能も完備

 

フォルクスワーゲンやBMWの車とも連携する
フォルクスワーゲンやBMWの車とも連携する

 

円形ディスプレイを採用し、デザインも時計に近づけた。ノーマルバージョンのほか、より時計のモチーフを取り入れたクラッシックバージョンも発表している。また、Wi-Fi版のほか、3G版も用意。3G版には、物理的なSIMカードではなく、ソフトウェアで書き換え可能なe-SIMが採用されている。これによって、SIMカードぶんのスペースを削ったことが予想される。e-SIMは、サイズ的な制約の大きなIoTデバイスに向いた技術として、注目を集めている技術。将来的な技術動向を追う上でも、Gear S2は重要なスマートウォッチと言えるだろう。

通信モジュール搭載モデルには「e-SIM」が採用される
通信モジュール搭載モデルには「e-SIM」が採用される

 

サムスン電子のGear S2には独自OSのTizenが採用されていたが、それ以外の多くは、スマートウォッチの“業界標準”とも言えるAndroid WearをOSに搭載していた。IFAで発表されたのは、ファーウェイの「Huawei Watch」、モトローラの「Moto 360」、ASUSの「ZenWatch 2」。いずれも最新OSを搭載することで、Androidだけでなく、iOSにも対応端末を広げている。Huawei WatchやMoto 360はGear S2と同様、円形のディスプレイを搭載しており、この形がスマートウォッチの1つのトレンドになりつつあることがうかがえた。

ASUSの「ZenWatch 2」
ASUSの「ZenWatch 2」

 

モトローラの「Moto 360」は第2世代に進化
モトローラの「Moto 360」は第2世代に進化

 

金属素材を採用し、質感の高さを売りにする「Huawei Watch」
金属素材を採用し、質感の高さを売りにする「Huawei Watch」

 

同じAndroid Wearだが、デバイスごとの差別化もされている。Huawei Watchのように金属をふんだんに使ったり、Moto 360のようにオンラインでカスタマイズ可能にしたりと、同じOSを採用しているからこそ、こうした差別化が重要になってくるのは、スマホと同じだ。デザインがより時計に近づき、質感も上がったことで、一般のユーザーがウェアラブルに手を出しやすくなってきたというのも、今年のIFAを通しての傾向だ。

「Moto360」は、デザインをセミオーダー可能。スマホで培った「MotoMaker」の仕組みを流用している
「Moto360」は、デザインをセミオーダー可能。スマホで培った「MotoMaker」の仕組みを流用している

 

その点では、さらにデザインを突き詰め、時計としての完成度を上げたのが、ソニーの新規事業創出プログラムから生まれた、「wena wrist」だ。このモデルは、いわゆるスマートウォッチとは異なり、できることは非常に限られている。バンド部分にLEDライトとFeliCaチップが埋め込まれており、スマホの通知は光で確認する。FeliCaにはiDやANAのスキップサービス、楽天Edyといったアプリを追加することができ、決済やチケットにも利用可能だ。

ソニーの新規創出プログラムから生まれた「wena wrist」
ソニーの新規創出プログラムから生まれた「wena wrist」

 

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ドコモの「おサイフリンク」の仕組みに対応しており、iDや楽天Edyなどのサービスを利用できる

とは言え、一般的なスマートウォッチのように、ディスプレイを搭載しているわけではなく、あくまでできるのは通知が届いていることを確認する程度。逆に、ケース部分はアナログ時計をきっちりと再現している。それもそのはず、このwena wristは、時計の経験を積んだデザイナーによってデザインされており、ケース部分はシチズンが設計、開発している。まさに本物の時計というわけだ。

ケース部分だけ取り外すこともできる。盤面などのデザインは、時計の経験を持つデザイナーが手掛けた
ケース部分だけ取り外すこともできる。盤面などのデザインは、時計の経験を持つデザイナーが手掛けた

 

スマートウォッチから必要な部分だけを見極め、それ以外を徹底的にそぎ落とすことで完成した時計とも言えるだろう。wena wristは、ソニーのクラウドファンディングサイト「First Flight」で出資を募っており、現時点で7000万円を超える支援が集まっている。こうしたことからも、注目の高さが伺えるだろう。未来に進みすぎてしまったスマートウォッチだが、一歩立ち止まって、あるべき形を追求したことが評価されているのかもしれない。

このように、多種多様なアプローチのスマートウォッチが発表されたのが、今年のIFAの傾向だ。一般層にまで普及しているとはまだまだ言えないスマートウォッチだが、その壁を超えようとするアプローチを採るメーカーも出てきた。こうした競争が続けば、スマートウォッチの市場もさらに成熟してくるはずだ。

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