スポーツに特化したIoTデバイスを開発するLEOMO, Inc.は、ウェアラブル技術を使った新しいデバイス「TYPE-R」を発表した。「TYPE-R」は、モーション解析を使って、特に競技アスリートとコーチにとって、そのパフォーマンスを最大限発揮できるように設計されており、今年夏後半に米国で、今年の後半に他の地域でも公式発売を予定。「TYPE-R」は、アスリートのフォーム、効率、パフォーマンスを最適化でき、怪我の防止や怪我からの回復を助ける。
これまで、モーションキャプチャーなどのアスリート向けのモーション解析は、ラボやスタジオでの測定に限られており、より現実に近いトレーニングやレースの条件を反映することができず、精密かつ高価なシステムが必要だった。 モーション解析を屋外でも可能にする「TYPE-R」は、アスリートやそのコーチがトレーニングや競技を行う環境と同じ条件下で、日々、気軽にモーションデータの収集を行うことができる。
「TYPE-R」は、タッチスクリーンが搭載され、ハンドルバーまたは手首に取り付けることができ、ANT +対応の汎用のセンサーと接続することで、パワー、パワーバランス、ケイデンス、心拍数を表示することも可能。
「TYPE-R」の一番の特徴は、5つものLEOMOモーションセンサー(Bluetooth接続)を標準で付属していること。そのセンサーは、3軸のジャイロスコープと3軸の加速度センサーを搭載しており、センサーを着用したアスリートの動きやフォームを正確に計測。LEOMOモーションセンサーは、左右の膝の上部と靴、腰(仙骨)の上に装着し、今まで測定できなかった下記のような動きを測定することができるという。
- Dead Spot Score:1ケイデンス内で、ペダル速度がスムーズではない箇所の大きさと位置を特定
- Foot Angular Range:ペダリング時に踵がどれだけ上下に動くかを測定
- Foot Angular Range (Q1):クランク位置が0時から3時の間で踵がどれだけ上下に動くかを測定
- Leg Angular Range:ペダリング時にももがどれだけ上下に動くかを測定
- Pelvic Tilt:自転車選手の骨盤の前傾角度を測定
「TYPE-R」は、トレーニングデータをワイヤレスでアップロードでき、簡単にフォームの分析ができる。 Wi-Fiのネットワークを経由し、トレーニングデータはクラウドにアップロードされ、PCのWebブラウザからアクセスできる「ダッシュボード」で分析が可能。今後は、有名なTraningPeaksなどのトレーニング分析プラットフォームと統合することも計画しているという。
「TYPE-R」は、Foxconnが製造し、長時間のトレーニングでも、バッテリーライフを気にすることなく、使用することが可能。自転車選手、トライアスロン選手、そのコーチを最初のターゲットにしているが、モーション解析は、これらのスポーツ以外にも応用が可能で、最適な動きは、あらゆるスポーツに重要。将来的には、この技術をランニングや水泳に応用することを具体的に検討しているという。
LEOMOは、正確かつ実用的なモーションデータを提供することが重要であると考え、選手とそのコーチが、今の限界を超え、次の目標を見つけることができるようサポートする。
- コーチの場合:「TYPE-R」を使用することにより、コーチは、アスリートのそばに居ても、居なくても、モーションデータを見ることで、正確にアスリートの動きを評価することができる。また、アスリートが意識的にフォームを変えると、モーションデータに反映されるため、コーチが自分の指示が正しく伝わったか検証でき、アスリートに指示を適格に伝えられるようになる。
- アスリートの場合:自転車選手は、特に実際の道路上では自分の動きをリアルタイムに見ることができないが、「TYPE-R」の画面には、自分の目では分かりにくいフォームや動きの僅かな変化をも可視化することが可能。
「TYPE-R」は、上述のような価値以外にも、将来的には、パフォーマンスや技術の向上、そして、怪我を認識・対応・回避することができるような画期的な価値を創出できると考えているという。LEOMOは、これらの価値創出の可能性を検証するために、世界的に有名なスポーツ医学およびバイオメカニクスの研究者と提携している。
身体の位置、動作の負荷、および継続時間を変えると、効率がどのように変化するか、自転車選手のフォームや動きをグリコーゲンの使用と比較する最先端の研究を行っている。自転車選手が示す生体力学的動きを検証するための研究も行っている。
さらに、LEOMOは、USA TriathlonやUSA Cycling認定コーチ、スポーツ科学者、Neal Henderson氏などの世界レベルのコーチと協力して、トップアスリートで「TYPE-R」を試験している。
LEOMOは、「TYPE-R」の発表に伴い、世界有数のスポーツ科学者、運動生理学者、コーチ、理学療法士、プロのバイクフィッターからなるシンクタンク、IMA (Institute of Motion Analysis)の設立を発表した。 IMAは、モーション解析が肉体のパフォーマンスを測定するためのツールとして果たしている重要な役割を認識し、この重要なテーマについての教育と研究を促進することを目指している。
【関連リンク】
・LEOMO
無料メルマガ会員に登録しませんか?
IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。