【概要】
■2017年第1四半期のウェアラブルデバイス世界出荷台数は前年同期比17.9%増の2,470万台
■Xiaomi(シャオミ)とApple(アップル)がトップに並ぶ
■日本国内出荷台数は前年同期比19.9%減の20万4千台
IT専門調査会社 IDC Japan 株式会社は、2017年第1四半期(1月~3月)におけるウェアラブルデバイスの世界と日本の出荷台数を発表した。
IDCが発行する「Worldwide Quarterly Wearable Device Tracker」のデータによると、2017年第1四半期の世界ウェアラブルデバイス出荷台数は、前年同期比17.9%増の2,470万台となったという。
米国IDC ウェアラブルデバイスチーム リサーチマネージャーのレイモン・リャマス氏は「ユーザーの好みがフィットネスバンドから腕時計などの製品に変化しつつある中、Fitbit(フィットビット)は自社がその変化の真っただ中にあると認識している」と述べている。
また、「ユーザー嗜好の変化のおかげで、Xiaomi(シャオミ)は中国市場で安価なデバイスへの集中を加速することができ、Apple(アップル)は世界のスマートウォッチメーカーとしての地位を築くことができるようになった。XiaomiとAppleがFitbitに取って代わった今、次の課題はいかにして彼らが自らの地位を維持するかということである」と述べている。
また、レイモン・リャマス氏は「しかしながら、Fitbitがウェアラブルデバイスを巡る競争から退くというのは間違いである」と指摘し、「5,000万ユーザーが支える同社の健全なマーケットでのプレゼンスは、同社がデジタル健康分野でトップのマインドシェアを得るという、無形資産に結びついている。今後はそれをてこ入れし、新しい市場とセグメント層に参入するだろう」とも述べている。
米国IDC Mobile Device Trackers シニアリサーチアナリストのジテシュ・ウブラニ氏は「市場は全体として形成期にあり、ベンダーはウェアラブルデバイスを市場に投入することに注力している」と述べている。そして「家電市場は伝統的な時計やファッションウォッチの市場規模を量的には凌駕するため、この市場を開拓することは、伝統的な時計ブランドにとっては非常に魅力的である」と述べている。
「市場形成の第2段階は、ユーザーデータを有効活用することであろう」ともジテシュ・ウブラニ氏は述べている。「この段階は歩数計が心身の健康を実現するときにもたらされる。そしてその時、これらのデバイスは単に文字盤を眺めるというよりも、我々の生活をより容易に、あるいはより生産的にしてくれるものになるだろう」と述べている。
また、「Worldwide Quarterly Wearable Device Tracker」は、日本国内のウェアラブルデバイス市場データも提供している。同Trackerの2017年第1四半期データによると、国内ウェアラブルデバイス出荷台数は合計で20万4千台となり、前年同期比19.9%減となった。
タイプ別で見ると、腕時計型が市場の68.2%を占め、従来市場を牽引してきたリストバンド型の26.1%を大きく引き離しており、ウェアラブルデバイスの日本市場は世界に比べ腕時計型への集中が顕著になっているという。
「1年前はウェアラブルデバイスといえばリストバンド型が主導的であった日本国内市場は、機能面で優れる腕時計型主導となりつつある」とIDC Japan PC,携帯端末&クライアントソリューションのシニアマーケットアナリストである菅原啓氏はコメントしている。さらに「ただし、市場が再度拡大に舵を切るためには、リストバンド型はもちろんのこと、耳掛け型など様々な形態での多様なユーザー体験を提供・提案していく必要があるだろう」と述べている。
世界トップ5ベンダーの動向は以下の通り。
- Xiaomi
この数年間、2位あるいは3位に甘んじてきたが、2017年第1四半期はアップルと肩を並べトップでスタートを切った。同社の出荷台数(そのほとんどがフィットネス用リストバンド)の96%以上は中国国内にとどまっており、スマートフォンにバンドルして消費者に届けられている。同社はIntelのCurieを用いた「90 Minutes Ultra Smart Sportwear」というシューズウェアを発表しており、リストバンド依存からの脱却を図っている。 - Apple
Apple Watch Series 1とSeries 2の発売後、同社の腕時計に対する需要が2四半期近く継続しており、主要ベンダーの中では2番目に高い成長を記録した。価格が高く特に差別化要素もなかった初代Apple Watchと比べ、Series 1とSeries 2は消費者に歓迎される仕様変更を行っており、初めて腕時計型を利用するユーザーと買い替え用の新モデルを探していたユーザーの両方を惹きつけることに成功しているという。 - Fitbit
ここ数年市場をリードしてきたが、2017年第1四半期は3位となった。しかし、同社はAlta HRの発売により、フィットネス・トラッカーの市場ニーズを喚起し、またリストバンド型Charge 2と腕時計型のBlazeの人気が続くとみている。また、Coin、Pebble、Vectorの買収によって、同社初のスマートウォッチが登場すると予想されている。 - Samsung
他のベンダーを対前年成長率で上回り、ウェアラブルデバイスの出荷台数は前年の約2倍となった。同社の躍進はIconXヘッドフォンとGear Fit 2フィットネスバンドだけでなく、Gear S3 frontierや同Classicといったスマートウォッチはそれぞれの市場で上位を占めた。Samsungのスマートウォッチだけが持つ強み(同社製スマートフォンとの親和性など)は、この市場における差別化要素として競合に対して数歩先を行っていると言えるという。 - Garmin
ベーシックウェアラブルからスマートウェアラブル製品群への移行は、2017年第1四半期中も本格的に続き、それぞれのボリュームが互いにほぼ等しくなるところまで到達したという。これには、アマチュアアスリートやアウトドア愛好者に対し、健康やフィットネス分野以外のサードパーティーのアプリケーションを扱うVivoおよびFénixブランドのスマートウォッチが加わった事が大きいと言えるという。Fénix 5は、より小さいサイズを実現したことにより、多くの消費者のニーズに応えることができ、市場への投入が上首尾なものとなったという。
<参考資料>
1. 2017年第1四半期 世界ウェアラブルデバイス トップ5ベンダー出荷台数(百万台)および対前年成長率
・IDCではベンダーランキングをCompany(資本関係によるベンダーグループ)にて扱う。
・IDCではベンダー出荷実績の差が1%未満の場合、ベンダーランキングではタイ(同位)として扱う。
2. 2017年第1四半期 国内ウェアラブルデバイス出荷台数 ベンダー別シェア
IDCではベンダーランキングをCompany(資本関係によるベンダーグループ)にて扱う。
3.2017年第1四半期 日本国内および日本を除く世界全体のウェアラブルデバイス出荷台数 タイプ別構成比
【関連リンク】
・IDC Japan
・フィットビット(Fitbit)
・シャオミ(Xiaom/小米科技)
・アップル(Apple)
・サムスン(Samsung/三星)
・ガーミン(Garmin)
無料メルマガ会員に登録しませんか?
IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。