【概要】
■2021年の世界ウェアラブルデバイス出荷台数は2017年の2倍近くの2億4,010万台
■腕時計タイプは安定的な成長を維持するものの、リストバンドタイプは失速と予測
■日本国内の2021年合計出荷台数は135万台、腕時計タイプ主導で安定的成長を期待
IT専門調査会社 IDC Japan 株式会社は、ウェアラブルデバイスの2021年までの世界/国内出荷台数予測を発表した。IDCが発行する「Worldwide Quarterly Wearable Device Tracker」の予測によると、2017年には1億2,550万台と予測されるウェアラブルデバイスの出荷台数は、2021年には2億4,010万台に成長すると見込まれ、好調なペースでの市場拡大が期待されている。
「ウェアラブル市場は新しい段階に入りつつある」と米国IDC ウェアラブルデバイスチーム リサーチマネージャーのレイモン・リャマス氏は述べている。
また、「市場が立ち上がって以来、求められていたのは認知と関心を呼び起こすために製品を投入することであった。だが今や、ユーザーエクスペリエンスを正しく理解することが重要である。ハードウェアのルックアンドフィールから、洞察力のあるデータをいかにして収集、分析、そしてユーザーに提示するかが問われている。これがユーザーに意味するのは、今後数年間で、今日世に出ているデバイスが陳腐なものに見えてしまうような第2/第3世代のデバイスが身近なものになるということである。デジタルアシスタント、携帯電話接続、大規模システムへの接続は、自宅でも職場でも可能になると期待される。同時に、市場に投入されるデバイスの多様性の拡大と価格の下落により、これらのデバイスはより多くの人に提供されるようになると期待される」と述べている。
「この恩恵を被るのはエンドユーザーだけではない。ソフトウェアデベロッパーやチャネルパートナーはアプリ、サービス、およびデータの分類を提供し、それらは多くのウェアラブルデバイスの成長をサポートすることになるだろう。デバイスの展開という観点から見ると、ウェアラブルデバイスは生産性を高め、コストを削減し、長期的にはROIを向上させるという恩恵をビジネス分野に与える事になる」と米国IDC Mobile Device Tracker シニアリサーチアナリストのジテシュ・ウブラニ氏は述べている。
また、IDCが発行する「Worldwide Quarterly Wearable Device Tracker」のデータでは、日本国内のウェアラブルデバイスの出荷予測も提供している。同Trackerでは、国内市場の2021年の年間出荷台数は135万台と予測。タイプ別で見ると、腕時計型が市場の約半数を占め、堅調な成長が予測されるという。
「国内市場は、機能面で優れ、『ウェアラブルデバイスと言えば腕時計型』との認知もある腕時計型が市場をリードする趨勢が今後も続くとみている」とIDC Japan PC,携帯端末&クライアントソリューションのシニアマーケットアナリストである菅原 啓氏はコメントしている。さらに、「だが、世界市場の規模に比して国内市場の規模は圧倒的に小さい状況が続くことが懸念される。今後のさらなる市場の拡大のためには、ユーザーに対してベネフィットを明確に提示しうる商品とソリューションを提供することが肝要になる」と述べている。
製品タイプ別の動向は以下の通り。
- 腕時計型
腕時計型は、今後5年間はウェアラブルデバイスの市場において多数派であると考えられる。しかし、腕時計型のマーケットを仔細に見てみると、ベーシック型(サードパーティー製のアプリを実行できないもの。例: ハイブリッドウォッチ、フィットネス/GPS時計および子供向け時計)はスマートウォッチ(Apple WatchやSamsung Gear、及びAndroid Wear上でサードパーティー製のアプリを実行可能なもの)市場を上回るものとみられる。そして伝統的な時計メーカーはリソースをハイブリッドウォッチに振り向けてきており、そのおかげでベーシックタイプの市場規模は年々拡大を続けている。しかし、スマートウォッチは、携帯電話との接続機能がより一般的なものになるため、2019年以降は市場拡大が加速するものと考えられるという。 - リストバンド型
かつてはウェアラブル市場のリーダーであったリストバンド型は、今後数年間の成長は鈍化するとみられている。2016年末に起きたリストバンド型デバイスの突然の成長鈍化は今後数年にわたって続くものと考えられるという。しかし、リストバンド型デバイスはマスマーケット向けには十分な機能を備えた低コストの商品により、市場の形成を続けていくものとみられる。付け加えて言えば、ユーザーは追加機能とさらなる多用途性を求めて、リストバンドのあとは腕時計型へとシフトしていくものと考えられるという。 - 耳掛け型
Bluetoothにより音声通話機能を追加で提供するだけのヘッドセットは同Trackerでは対象としていないが、これらの現在対象外のデバイスはスマートフォンへデータをフィードバックする追加機能を今後搭載してくるものと考えられている。その先行事例はBragiのDashとSamsungのGear Icon X。ほとんどのケースにおいて、これらの追加機能はユーザーのフィットネスデータを収集することに焦点を当てると同時に、リアルタイムでの音声フィルタリングあるいは翻訳機能も目指していると考えられるという。 - 靴・衣類型
「スマート衣類」市場は、シャツ、ベルト、靴、靴下、その他の衣服を提供する中国の多くのベンダーのおかげで、大きな前進を遂げた。消費者は今のところネットワークやスマートフォンに接続された衣類を完全に受け入れているわけではないが、プロのアスリートやチーム、組織は、プレーヤーのパフォーマンスを向上させるために使い方を検討しているところだという。今後見込まれるGoogleとLevi‘sのProject Jacquared対応のジャケットのリリースは、今年大きくマーケットを変えようとしているという。 - その他
クリップオンデバイス、非AR/VRアイウェアなど、あまり知られていない製品がこのカテゴリーに含まれている。このセグメントでは大きな成長は見込まれないが、多くのベンダーが独創的な新しいデバイスと用途でニッチなユーザーに対応している。
<参考資料>
1. 世界ウェアラブルデバイス出荷台数 2017年および2021年の予測(タイプ別、単位: 百万台)
2. 国内ウェアラブルデバイス出荷台数 2017年および2021年の予測(タイプ別、単位: 千台)
【関連リンク】
・IDC Japan
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