運送業のトラック運転手や、建設現場の工事担当など肉体に大きな負荷がかかる仕事の場合、過労によって体調を崩すという懸念が大きい。
そこで、NTTPCコミュニケーションズでは、ウェアラブルバンドを活用して、心拍の情報を5秒程度に1回取得し、医学的な知見を掛け合わせることで「疲労度」を計算することに成功したのだという。
これまで、約1年にわたり13社のべ550人以上のフィールドワーカーに対してPoCを実施し、医療専門家による監修のもと培ったノウハウや分析ロジックにより的確にフィールドワーカーの異常を検知することができるようになったというのだ。フィールドワーカーの心拍状態を取得し、細かな作業情報と掛け合わせることで、「作業強度」と呼ばれる情報が取得できるようになったのだという。
ちなみに、作業強度0は、安静状態で、1は軽い手作業など、2はトラックの操縦や草むしりなど、3は重い材料を運ぶなどで、4になると階段を上ったり走ったりするというかなり激しい運動を伴う作業をやっている状態と定義されていて、それぞれに対して基準となる数値が決まっている。
この「作業強度」を算出することで、作業者に対して熱中症などの対策が必要な場合、警告をする、といったことができるようになるというものだ。(下図赤、黄、緑の色が警告度を表している)
このサービスの仕組みとしては、ウエアラブルデバイスとゲートウェイ機能となるスマートフォンをセットで作業者が持ち、定期的に心拍状態を取得し、クラウド上に保管する。クラウド上に保管されたデータの内容を解析することで、各作業者の状態を把握し、必要に応じて警告するというものだ。
このサービスで、
- 作業者がどこにいるか
- 作業者一人一人の暑さに対する変化のきざしを感知し管理者に警告
- 毎日取得することで、いつもとの違いを把握する
ということが管理者としてできることが特徴だという。
また、このウエアラブルデバイスをつけたまま、トラックを運転したテストでは、熟練ドライバーであってもひやりとするカーブの位置がわかるため、ドライバーに注意喚起することもできるというのだ。
単純に位置情報を取得するという意味では、花火大会の警備員が今どこにいるのかを知るなどの利用方法もあるという。
サービス利用に関する初期費用は必要ないが、1担当あたり2,000円の利用料とウエアラブルデバイスの費用(キッティング費用込み)が13,000円、SIMカードが720円が必要で、スマートフォンを中継器として利用する場合は別途見積もりが必要だということだ。
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IoTNEWS代表
1973年生まれ。株式会社アールジーン代表取締役。
フジテレビ Live News α コメンテーター。J-WAVE TOKYO MORNING RADIO 記事解説。など。
大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アクセンチュアなどのグローバルコンサルティングファームより現職。
著書に、「2時間でわかる図解IoTビジネス入門(あさ出版)」「顧客ともっとつながる(日経BP)」、YouTubeチャンネルに「小泉耕二の未来大学」がある。